ケルトの伝統行事・ベルテンをご紹介します。 Beltane Hogmanayは外国の正月行事の珍しいのを探していて見つけたのですが、ついでにイギリスのスコットランド地方のものを探していて、特色のあるもの、また、ケルトの昔物語にベルテンというのがあったのを思い出して調べてみました。多分、アイルランド、それからウェールズ地方とも共通するお祭りです。5月1日がその日なのですが、古いケルトの暦では一日は日没から始まるので、クリスマスと同じように4月30日の夜がクライマックスです。
まず、最初に見つけたサイト*1での簡単な記述の全文を記します。唐突に話が飛んでいますが内容的には原文のままです。Beltaneの発音ですが、橘青洲という方から正しくは「ベルティナ」であるとの指摘がありました。 ベルテンはヨーロッパに古くからある火祭りの一つ*6である。この名称はケルトのBelenus*8に由来している。ベルタンのかがり火とメイポールは多産と土地の豊穣を祝うものである。 春の女神ペルセポネーは性の経験を積む年齢に達している。 古い時代には恋人達は戸外で寝て野原で「大いなる祭礼」(? 私には何のことかわかりません)を捧げて作物の豊穣を確かめる。メイポールの周りで一日中ダンスがなされ(今も)夜には恋人達はベルテンのかがり火を飛び越えて夏至に結婚あるいは婚約*9するかを宣言する。 ベルテンは聖なる結婚のときでもあり、その女神と神はメイクイーンとメイキングとして知られている。これらの祭礼は自然の豊穣を祈るものであり、そのかがり火はあらゆる災厄を清めるものと信じられていた。 覚え書きのようなとりとめない記述で、もう少し調べてみようという気になりました。いくつかのサイトを見つけて調べた結果が以下です。 この祭りの由来には諸説あるようなのです。目についたものを記してみますが、相互に矛盾があったりして整然とはいきません。シーザーも登場しますし、チョコレートのゴディバも登場します。 Beltaneの意味はBelの火で、そのBelというのはローマ教皇のヨーロッパ征服にあたって、スペインから来てアイルランドの守護聖人であったBrideを屈服させた人物ということです。アイルランドではBelは地獄と死、生命の神でありまた、太陽の化身とされています。そしてBelの火は太陽の光から採られます。実はこのBelはヨーロッパ各地に見られ、ベルギー(Belgium)もそうで、シーザーが彼に会ったときはベレノスと呼びアポロと同じと見たということです。また、遠くレバノンまで飛ぶと、旧約聖書にアシュタルテ女神の夫、Baalというのが出てきます。実はこの資料*2の前段にはブリテン島ではほかの国でもよくあるように太陽は女神であってBrideという名前だったとあります。ブリジッドという名前はそれに由来するということです。こうして見るとBelはBrideを乗っ取って太陽の神にもなったということなのでしょうか。 別の資料*3によると、Beltaneはメーデー*4(五月祭)のケルト名であり、やはり太陽神 Belの火という意味となっています。このメーデーと同じようなものとしてドイツのWalpurgisnachtが紹介されています*5。 どんな祭りなのかというと、これが一筋なわではいきません。まず、高尚なところから紹介します。 Belの火の燃え落ちるたき木がいろんな形をとるのを見ながら過去の様々を振り返り、成長の季節:夏を前に一呼吸するという意味があり、火はまた太陽の象徴として、その成長と稔りを増す働きをするということです。ケルトでは家畜をたき火の間を歩かせて清めてから放牧に出す慣わしだったということです。また、一説には空を着て*7恋人と一緒にたき火の上を飛び越えると翌年までに赤ちゃんができるということです。*2 Beltaneはケルトの女神:Brideを祝う祭りの一つでもあるようです。あと三つあるのです。どれも火祭りです。Beltaneでは処女として現れます。そして8月はじめのLughnasadにはBeltaneでの恋の結果として母として現れ、11月はじめのSamhainでは老婆になって現れるということです。 そういうわけで、Beltaneではメイクイーンとキングが選ばれます。その二人を祝して人々はメイポールの周りでダンスします。このメイポールというのがくせ者です。ダンスはポールのてっぺんにリボンを結びつけて、各人、その端をもって、きまったやり方のスクエアダンスを踊ります。資料にはやり方が書いてあるのですが、想像をたくましくしても描ききれません。いつかそういう動画が見つかったら紹介します。*2 | | |
このお祭りは本来というか古来の姿とはかなり変わってきています。本来の姿は、破廉恥な性と豊穣の祭典であったということです。 | メイポールからして、男性の象徴であったということで、左の絵はエディンバラにある「Beltan火祭り協会」*10(健全なBeltaneを推進しています)のホームページのトップにあるものですが、何やらあやしげです。Beltaneを語る子守唄があって、その中に見て! 白馬に乗った美しい貴婦人とあるのは、その昔、コヴェントリ−の領主婦人、Godivaが、そのようにすれば重税をやめると言われて空を着て馬にのって町中を練り歩いたという故事にならって、メイクイ−ン、つまり、選ばれた村の処女がやはりそのようにして練り歩くということが300年くらい続いていたということです。*3 | |
それが止めることになったのは清教徒のピュ−リタンが禁止したためです。1644年にはメイポールを作ることも禁止しました*8。ピュ−リタン達はまた、緑の森の婚姻の抑圧に躍起でした。若い男女が森に入り、日の出まで過して翌朝、花輪などを作って帰ってきて村を飾るというのがそれです。「ただの一人も処女のままでは帰ってこない。森に入った娘の10人うちの9人までが子供ができて戻ってくる。」などと嘆いていたのです*8。 どうやらこの慣わしは古代ローマの花祭り Florialaとも共通するようです。ここでは4月28日から5月1日にかけて無節操な乱行が行われたということです。 最後に「Beltan火祭り協会」がエディンバラのCalton Hillで毎年開催している祭りの今年の写真を1枚だけ紹介します。このサイトに行けば新聞記事とともに10枚ほどの写真があります。ときどき入れ替えているようです。ちょっと前はImbolc*6の写真でした。この協会はBeltaneに限らず火祭りを推進しているようです。写真はメイクイーンです。ブルーマンに先導されて、四人の女戦士の侍女を従えて火に囲まれながら登場する場面です。ストーリーはここに冬のグリーンマンと様々な妖精が現れてわるさをしますが、グリーンマンは女戦士達に斬り殺され、夏のグリーンマンに生まれ変わってメイクイーンと結婚して目出度し目出度しとなるようです。大規模なたき火と若者の裸に近いボディーペインティングの扮装での乱痴気騒ぎで、新聞では今回は逮捕者はでなかった、救急隊の出動もなかったとか書いているところをみると、そういう心配もあるようです。 | | |
*1 http://www.mindspring.com/~stardancer/beltane.htm" target=new>http://www.mindspring.com/~stardancer/beltane.htm | *2 | http://www.isleofavalon.co.uk/edu/g-bank/articles/beltane.html(リンク切れ) | *3 http://www2.witchesweb.com/" target=new> http://www2.witchesweb.com/ | *4 | 余談になりますが、五月のMayというのはギリシャ神話の山のニンフで後にすばるとして知られるアトラスの七人の美人娘の中でも一番のMaiaがゼウスとの間にヘルメスを生んで女神として扱われるようになった、その名前からくるものだということてす。ちなみにアトラスの妻はPleioneです。戻る | *5 | ちょっと調べたところでは、少女達が悪霊としての魔女の扮装をして、少年達が騒音を立てて追い払うもののようです。魔女狩りですが、この祭りもキリスト教以前は別のメイポールを中心と多分にいかがわしいものものだったようです。Walpurgisというのは祭りのあり方を変えさせた修道女の名前のようです。さらにたどるとスウェーデンのVALBORG's EVEにたどりつきます。いずれも4月30日の夜です。戻る | |
*6 | ケルトの暦では火祭りは全部で四つあるようです。まず、一年はまず、冬至と夏至で二分され、さらに春分と秋分で二分し、それからさらに二分するとCross Quarter Dayが四つでき、それがすべて火祭りでその一つがBeltanなのです。あと、8月のLughnasad、11月 Samhain(別名というか一年の始まりがHallloweenです。)とあって、2月がCandlemas、つまりロウソクみさ、ケルトの原名はImbolcです。Halloweenの対極にあるのがBeltaneで、この二つが最大の祭りだそうです。最大のものはHalloweenですが、ウェールズ地方では逆だということです。戻る | ケルトの魔女の暦の一年 |
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