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NAPAとFHWAの1997年、10月17日のセミナーより
NAPA、FHWA
目次
はじめに
材料
骨材
アスファルトバインダ
改質材
製造(プラント)
ストックパイル
コールドフィード
バインダ貯蔵
骨材の乾燥と混合
より高い混合温度
運搬
舗設
転圧
一般事項
試験施工
打設厚
転圧方法
テンダーゾーン
品質管理
トラブルシューティング
まとめ
はじめに
多くの州においてSUPERPAVEが用い始めており、2000年にはほとんどの州が完全にSUPERPAVEに移行することになる。SUPERPAVEで設計した混合物(以下、SUPERPAVE混合物と呼ぶ)の供用性はこれまでのところ良好であるが、製造と打設についていくつかの問題を生じている。この問題は従来のHMAにおける問題より大きいというわけではないが、慣れない製品については付加的なガイダンスが施工上の問題を最小限にするためには必要と考えられる。これまでに確認した施工上の問題は、正しく技術判断し、HMAの施工手順を守れば解決できるものである。
このガイドラインはSUPERPAVEによつて設計した混合物の正しい施工のためのものである。重要なのは、過去の経験を捨てるのではなく、SUPERPAVEによる混合物がより多く施工されるにつれて経験を重ねていくということである。これまでもHMAの施工には正しい施工が必要だったが、これからも高品質のSUPERPAVEによる混合物を施工するためには同様の正しい施工が必要である。
SUPERPAVE混合物についての推奨される施工方法は、従来の混合物におけるものと極めて似ている。しかしながら、粗粒混合物に特有の、あるいはSUPERPAVEにおいて、より大きくなる施工上の問題もある。このガイドラインはHMAの施工方法にすべてをカバーしているわけではない。それに関してはNAPAあるいはAIの出版物がある。
このガイドラインは粗粒のSUPERPAVE混合物の施工で遭遇した問題と、従来の混合物と異なる可能性のある事柄に焦点をあてている。
このガイドラインはSUPERPAVEに経験を有する、道路管理者、施工業者、材料メーカー、機械製造メーカー、FHWAの代表のグループによって作成した。このグループは1997年10月17日にNAPAで開かれたNAPAおよぴFHWA主催のワークショップに出席した人々である。
議論した施工方法は、骨材を含めた材料の種類、アスファルト、改質材、プラントでの製造、運搬、打設、転圧および品質管理、品質保証などである。これらのトピックについて議論したガイドラインが以下で述べられている。このガイダンスは遭遇するであろうすべての問題をカバーするというわけではないが、従来のHMAとSUPERPAVE混合物との施工手順上の違いを理解するための基礎的知識を得るには十分と考える。
加えて、このガイドラインは施工業者の工程管理に関する情報ともなるようになっている。この情報はまた、品質管理工程に関わる人にも有用であるが、品質保証マニュアルに代わるものではない。
経験によれば、正しい施工手順に従えば、SUPERPAVE混合物は要求仕様を満足するためのリーズナブルな努力で施工できる。工程にかかわるすべての作業者が正しい手順に従えば、設計寿命の間、良い供用性の鋪装が施工できる可能性が高い。
このガイドラインはSUPERPAVEで設計した施工に関する全般的なガイドラインを示しているが、トレーニングに代わるものではない。SUPERPAVEの施工にかかわるすべてのレベルの人が適切なトレーニングを受けなければならない。トレーニングコースは全米で開設されていて、従来のHMAおよびSUPERPAVEに関する技術の理解を支援している。トレーニングに関する情報は、各州のアスファルト協会、アスファルト研究所(AI)、SUPERPAVEセンターのいずれか、あるいはNAPAで得られる。各種の施工機械の製造メーカーも、その製品を用いてのSUPERPAVE混合物の施工に関するトレーニングを用意している。
骨材
SUPERPAVEシステムでは骨材の要求仕様について多くの変更がある。これらの変更のうちのいくつかは施工手順に影響するが、ほかの多くはほとんど、あるいはまったく施工に影響しない。SUPERPAVEにおける変更の一つに粒度に関する要求仕様の変更がある。粒度の限界はいくつかのフルイ目でのコントロールポイントで定められる。これまでの細めのフルイ目のいくつかで領域幅のまんなかに禁止ゾーンがある。
SUPERPAVE混合物の設計手順においては、骨材の粒度は、この禁止ゾーンを通過しないことが推奨される。これには二つの主要な理由があり、混合物が最大密度のラインから離れて、適当なVMAが確実に得られるようにすることと、SUPERPAVE混合物に用いる天然砂の量を最小限にすることである。
禁止ゾーンの上を通る粒度は細粒度と呼ばれ、下側を通る粒度は粗粒度と呼ばれる。禁止ゾーンの下側を通る骨材による混合物は粗骨材をより多く含み、禁止ゾーンの上側を通るものよりも表面が粗面になる。
粗粒度のSUPERPAVE混合物は細粒度のSUPERPAVE混合物あるいは従来のHMAよりも粗骨材を多く含む。このような粗粒度の混合物は粗骨材の表面積に対する骨材重量の比率が高いため、往々にして細粒度の混合物よりも加熱、乾燥が困難になる。しかし、細粒度の骨材は、粗粒度の骨材より多くの水分を含んでいるのが普通である。場合によっては、粗粒度のSUPERPAVE混合物の方が実際には細粒度の混合物よりも加熱、乾燥が容易である。
SUPERPAVE混合物はより稜角に富んだ(破断面数)粗骨材およぴ細骨材を要求する。粗骨材の稜角度は破断面の数で計測するのに対して、細骨材の稜角度は骨材稜角度試験法によって計測する。これらの要求のため、混合物はより硬く、扱いにくいものとなる。このため、打設時にはワ−カビリティーの問題を生じ、転圧時には締固めの問題を生じる。しかし、稜角に富んだ骨材を用いることにより、混合物の供用性はかなり改善されるはずである。
骨材の重要な特性には、かさ密度、吸水率、粒度、砂当量、細骨材の稜角度、破断面数、扁平率、ロサンゼルスすりへり量、軟石量などがある。
アスファルト・バインダ
SUPERPAVEの一部として、アスファルト・バインダのグレード別はまったく新しいものとなっている。これまでの粘度と針入度によるグレードシステムから供用性グレード(PGグレード)システムに代わった。PG 64-22というグレード指定はそのアスファルト・バインダが満足な供用性を示す上限と下限の温度を表している。
多くの州で規定されているバインダのPGグレードによれば、より多くの改質材が用いられることになろう。改質材は上限および下限温度でのバインダの要求規格を満足させるために、必要になることが多い。
改質バインダを含む混合物は、改質材を用いないものと異なる施工方法が必要になることがある。改質材を用いると要求される混合温度が高くなるのが普通である。
これら、改質材を使用した混合物は硬く、作業性が悪いのが普通であるが、正しく施工すれば、わだち掘れに対する抵抗が増し、耐久性が高くなるであろう。
ある種の改質材は加熱混合プラントで添加されることから、州の担当官は添加後のアスファルトバインダについて適格性試験を要求することが有り得る。このため、アスファルトと改質材を混合する際には混合率についての厳しい管理が必要になる。また、混合後のアスファルトバインダのサンプルを、特性確認用に採る必要が出てくる。
ある種のPGグレードのバインダの取り扱い性については、このガイドラインの適した場所で述べられる。
改質材
SUPERPAVE混合物ではこれまでのHMAに較べて改質材の使用が多くなるものと思われる。プラントで添加する場合には、適切な改質材貯蔵容量がなければならない。改質されたバインダが正確にHMAに添加できなければならない。
たいていの場合、混合物に添加した改質材量の試験方法は存在しない。アスファルトバインダの指紋をとるような技術が開発中である。このようなアプローチは改質材を添加したバインダを骨材に加える前に、バインダ中の改質材の量を試験するのに用いることができる。改質材の量は改質材の混合物への投入量を制御して定められる。改質材量に一定以上の変動があれば、混合物の容積特性あるいは混合物の機械的特性の変化として表われる。
貯蔵と混合温度に関しては供給メーカーの指示をえるべきである。アスファルトバインダに添加する改質材の量はそれほど重要ではないが、改質材のアスファルトの性状に与える影響は重要である。
ストックパイル
SUPERPAVE混合物用の骨材のストックパイルは従来のHMAと同じはずである。粗粒度のSUPERPAVE混合物は、より多くの粗骨材を含み、乾燥がよりむずかしくなるため、ストックパイルでの水分の保有を最小限にするような手段をとらなければならない。ストックパイルを適切な排水性のある鋪装された斜面に設けることにより、ストックパイルからの水分の除去に効果がある。ストックパイルでの水分の管理のもう一つの方法は、ストックパイルに屋根を設け、ローダーのオペレーターが底の部分を避けながら、日当たりのいい側から採取していくことである。
HMA用の良い性状の骨材を製造するためには、クラッシングの運転時にコントロールすべきステップがある。施工業者の観点から言えば、ストックパイル全体にわたって一様な製品であることが保証できるような方法で製造され、ストックパイルに加えられることが重要である。また、ストックパイルが要求仕様を満足するよう、ブレンドできるか否かも重要である。
回収アスファルト廃材(RAP)は他の骨材と同様にストックパイルにして取り扱う。重要なのはRAPの中の骨材が要求仕様を満足するか、少なくとも新規骨材とブレンドすれば要求仕様を満足することである。RAPの使用割合が大きい再生混合物の場合は、RAP中のアスファルトもアスファルト品質の分析しなければならない。場合によっては、整合性のある結果を得るためにはRAPを細粒分と粗粒分のストックパイルに分離しておき、混合物にするときに混ぜ戻すことが必要になることもある。
コールドフィード
骨材のコールドフィードは従来のHMAとほぼ同様に行う。しかしながら、粗粒のSUPERPAVE混合物は粗骨材量が大多数の従来の混合物よりも多いことに注意しなければならない。これに加えて、道路管理者も最大粒径の大きい混合物を選択することがあり、結果として、粗骨材をさらに分級してストックパイルすることが必要になることがある。こうすることによって、分離が少なくなり、粒度の管理がしやすくなる。もう一つの選択として考えられるのは、個々の粗骨材のストックパイルから複数のコールドビンに供給することである。こうすれば、大量の粗骨材が2つのビンに分割されて、遅い速度で供給され、粒度の管理がしやすくなるであろう。
バインダの貯蔵
いくつかの州では気象条件や設計によっては、ある範囲をもったPGグレードのアスファルトの使用を要求するため、1種類以上のグレードのアスファルトバインダを貯蔵する能力が要求される施工業者もでてくる。この場合に重要なのは、個々のグレードのアスファルトが別々に保管されて、PGグレード間の混合がないようにすることである。混合による汚染を生じると、アスファルトが仕様のPGグレードを満足しなくなることが有り得る。アスファルトバインダを貯蔵タンクに荷下ろしするときには、正しいグレードのものが正しいタンクに入るよう注意しなければならない。
また、あるPGグレードのアスファルトがすべて同じものではないことも忘れてはならない。例えば、あるPG 70-22というグレードのアスファルトは改質されていないストレートアスファルトかもしれないし、改質されたものかもしれない。この2つのアスファルトバインダを混合するとPG 70-22の要求仕様に合わなくなるということになろう。したがって、ある特定のタンクには同じPGグレードのアスファルトを入れるだけでなく、2種類のPGグレードは化学的には同じような作りであることを知っておくことも重要である。施工業者は材料供給メーカーと協力して、問題発生を最小限にするようにするのがよい。
多くの州で重交通の道路におけるわだち掘れに対抗するため、上限温度に関してかなり、高いPGグレードをものを規定している。このような要求は、PGグレードで分グレードされたアスファルトでは、低温特性の犠牲をともなう。このような硬いバインダは混合も扱いもより困難である。このような要求があれば、すべてのプラント設備がこのような硬いアスファルトを扱えるようにしておくことが重要である。ある工事ではPG 82-XXというような高いグレードを使用した。これにより、製造された混合物はPG 70-XXやPG 64-XXを使用したものより硬いものとなる。
SUPERPAVEで使われるような硬いバインダに対しては推奨される貯蔵温度が高くなる。より硬いバインダは結果として高温を維持するためにより多くのエネルギーを要する。このような高い温度で長期間貯蔵すれば改質の効果に悪影響を与える可能性がある。
改質バインダの多くは時間が経つと分離することがあるので、バインダの再撹拌能力を有することが重要になる。混合物の品質を維持していくためには、改質バインダが分離しないことが必須となる。貯蔵については材料供給メーカーの指示に従うことが重要である。
マルチのバインダ貯蔵タンクが利用する場合は別々に測深するのが望ましい。改質バインダに対応するためには配管の変更が必要になることもある。各タンクについてサンプリング用のバルブが必要になる。
あるタンクの材料が隣接するタンクの材料を汚染しないようにすることが必須である。複数のタンク中のアスファルトは往々にして異なる温度を維持することが要求される。あるバインダは非常に高い温度で、他のバインダはいくぶん低い温度で保存されることになり、別々の温度制御が必要になる。加熱システムは使われる硬いバインダ用に高い温度を維持する能力を要する。アスファルトバインダの製造メーカーは貯蔵温度に関する要領を準備すべきである。
ある場合にはアスファルト改質材は加熱混合プラントで添加され、ある場合は改質材はプラントに配送する前に添加される。施工業者が改質材を添加する場合は、施工業者がそのアスファルトのPGグレード適合に責任を有する。
プラントでの改質の場合、縦型の混合タンクの方が水平型の混合タンクより効率的であり、また改質バインダの貯蔵でも優れているということが分かっている。縦型のタンクはまた、占有面積が少なく、追加のタンクが必要な場合も有利である。
骨材の乾燥と混合
粗骨材を乾燥させる時にはドライヤーの骨材のベール*1が変化する。この変化により、施工業者はドライヤー中の滞留時間を増加させるために運転特性を修正する必要が生じることがある。排出ガスと混合物温度の違いをモニターすれば、乾燥効率の良いチェックになる。
この温度差は小さくなければならない。
骨材がプラントに供給されるに連れ、破砕が生じることがあり、粒形は丸味をおびることがある。この変化はSUPERPAVEのように粗骨材量が多いと大きくなる。このような骨材特性の変化の可能性から容積特性の要求仕様を満足させるために、もとの配合設計を修正する必要が生じることがある。
VMAが要求仕様を満足する限り、容積特性を修正するための一番簡単な方法はアスファルト量を修正することである。この修正は現場で行われ、通常は新たな配合設計を要しない。
プラントである程度の試験練り(数百トン)を行えば、製造開始前にこの問題は解決できる。
製造中の容積特性への影響についてはNAPAの出版物・IS-124, Field management of HMAに詳述されている。
粗粒のSUPERPAVE混合物用の骨材を適切に乾燥するためにはさらに改善が必要になることがある。粗骨材は骨材片全体を熱するのが困難である。(その理由の一つは、しばしば、ドライヤー中での熱伝達を助ける細粒分の不足のためである) 残留する水分および不均一な加熱のために、SUPERPAVE混合物は通常の混合物よりも冷えやすいことがよく見られ、適切な転圧を行うための時間が少なくなる。この問題は骨材の吸水性が大きく、ストックパイルでの水分がかなりある場合(表面乾燥以上)に、より厳しくなる。
SUPERPAVE混合物は製造プラントの骨材の当たる部分(ドライヤー、フライト*1、ホットエレベーターなど)の摩耗を大きくするという指摘がある。これは骨材の硬さ、稜角度、単位重量などによるものである。単位重量が大きく、硬く、稜角に富む骨材はより多く摩耗させると考えられる。施工業者はこのより大きな摩耗の可能性を意識し、メンテナンスの必要性をチェックする必要がある。
*1 ドライヤーの中で骨材はフライト(掻き上げ羽根)で掻き上げられて、すだれ状になって落下しながら熱風にさらされる。このすだれ状をベールという。カーテンと呼ぶ例もある。このベールの状況により、加熱状況、熱気の流通状況が変る。
より高い混合温度
一般的には、SUPERPAVEの混合温度は改質材を用いると高くなる。既存のHMAプラントの中にはこのように高い温度では製造能力を落とさないと混合ができないものがある。ドライヤーのフライト*1、スロープあるいは回転速度の変更が必要になることがある。これらの動作で必要な熱伝達ができない場合は、製造速度を落とさなければならないことがある。
製造速度を落とすと、骨材の破砕程度、混合物中の水分量、アスファルトバインダの硬化程度の違いのために容積特性に影響する。たいていの場合、製造速度の変更は容積特性や残留水分にはほとんど影響しないが、そのような変化が有り得ることを承知しておかねばならない。
場合によっては、プラントのタイプや条件にもよるが、製造速度を落とすとアスファルトバインダの硬化が大きくなり、再生材や新規アスファルトバインダとの間をシールドするのに必要な骨材のベール*1が少なくなるために、排出ガスが多くなる。これらの影響はあるタイプのプラントでは確かにある。HMAプラントでの再生材の取り扱いについてはNAPAの出版物・IS-123, Recycling Hot Mix Asphalt Pavements に示唆がある。
混合温度がより高いということは、やはり、プラントのタイプや使用する舗設機械にもよるが、プラントおよび舗設場所での排出ガスを多くする。排出ガスを最小限にし、余分なアスファルトバインダの硬化を生じさせないよう、混合物を必要以上に加熱してはならない。昨今、多くの州で夜間舗設に進んでいる。これにより、気温が低くなることと、夜間は太陽の輻射熱が無いことから、混合物の温度は少し上げる必要がある。このように温度を上げれば排出ガスとバインダの硬化の問題を深刻にする。
高温対応のPGグレードのバインダには非常に硬く、ポンピングが困難なものがある。これは改質されたグレードの高いバインダで特に顕著である。このことにより、所要の馬力や、ポンプのサイズ、タイプの変更や、容積ベースでアスファルトを添加するときに用いるメーターなども変更を要することがある。バインダのスティフネスが著しく変化した場合はアスファルトバインダのポンピング用のメーターのキャリブレーションを行い、修正しておく必要がある。
改質材の利用の増加にともない、プラントでのインライン添加が多くなってきている。。製造速度を変更すると、アスファルトセメントと改質材の添加速度もそれに応じて調整しなければならないことがある。プラントでのインライン添加を現場で行う場合は、添加した者がアスファルトの品質保証をすることになる。
再生材を用いた混合物を製造するときには、熱伝達のプロセスはより困難でバージンの骨材の骨格が大粒径の骨材片を含み、細骨材が少ないため、時間がかかるようになることがある。大粒径の骨材片は小さい骨材片と同程度の速度では熱伝達しないため、熱伝達時間が余分にかかることがある。このため、最終的な再生材のパーセンテージは、その加熱合材プラントで可能な熱伝達で決まってくる。
バッチプラントのホットビンは細粒分のビン(No.1)が全ホットビン容積の約50%になるよう設計されている。残りのホットビン(No.2〜4)で、プラントの全容量の約50%を保持している。
ビンがこのように設計されているのは、たいていの混合物は細骨材分が高いためである。粗粒のSUPERPAVE混合物の場合は、ホットビンのバランスを保ってあるビンからのオーバーフローを防ぐのは困難になる。その結果、コールドフィードのセッティングはきめ細かく行わなければならない。
現在の加熱混合プラントの多くは各種タイプ、寸法の貯蔵サイロを有している。これらは舗設現場への連続的なトラックの流れを維持するのに極めて有用である。ある種のSUPERPAVE混合物に要求される高い温度のため、サイロにあまり長く置くのを許すと、アスファルトバインダが余分に硬化する恐れがある。
粗粒のSUPERPAVE混合物は高温で余分に長い時間貯蔵するとバインダがダレを起こし、混合物に悪影響を与えることがある。
ギャップ粒度や大粒径の骨材を用いる混合物では骨材の分離の問題が深刻になる。従来の混合物でとられる分離防止の対策が適切である可能性もあるが、慎重に適用するのがよい。
分離に関してはAASHTOとNAPAの共同出版になるSegregation Causes and Cures for Hot Mix Asphaltで述べられている。
トラックの床面はHMAの余分な付着を防ぐために清潔かつ滑らかにしておく必要がある。有効なはく離剤を用いなければならない。ある種のタイプの改質剤を使用したSUPERPAVE混合物は床面にくっつきやすく、除去も困難である。
SUPERPAVE混合物の分離は問題ではあるが、従来の混合物よりは幾分おこりにくい。トラック積みの際にはできるだけ分離を少なくするよう、積まなければならない。
ある種の粗粒のSUPERPAVE混合物は従来のHMAより速く冷える傾向があるとの指摘がある。余分に冷えるのに対応して、単純に混合物温度を上げると高くつき、アスファルト・バインダが余分に硬化し、排出ガスも多くなる。断熱したトラックを用い、加熱混合物の上を防水シートで良好に覆えば、温度低下を最小限にできる。
粗粒度の混合物におけるアスファルトバインダのダレは、トラック運搬距離が長いとき、運搬中におこりやすい。細粒度の混合物についてはダレはあまり問題にならない。
SUPERPAVE混合物の舗設では、分離を最小限にして確実に均一で分離のないHMAの層が舗設できるよう、良好な施工方法をとることが重要である。SUPERPAVE混合物の舗設は従来のHMAの舗設と大きく変わるところはない。従来のHMAで良好な層を形成していたと同じ作業手法をSUPERPAVEにも厳格に適用しなければならない。HMAの舗設技術に関する良いレビューがNAPAの出版物 IS-125, Paver Operations for Quality にある。
満足な供用性を得るためにコントロールしなければならない、一つの要件は縦ジョイントである。アスファルトセメントに改質材が適用されていない、細粒の混合物は一般に極めてワ−カビリティーが良い。このようなワ−カビリティーの良い混合物では、きっちりとした良い縦ジョイントを形成することは容易である。しかしながら、粗粒のSUPERPAVE混合物や改質材を適用した混合物では、材料の取り扱いがむづかしくなる。フィニッシャが十分に分離していない材料をジョイントの中に入れ、転圧したときに満足なジョイントが形成できるようにすることが重要である。
ジョイント形成の初歩的な事柄は、NAPAの出版物 IS-126, Longitudinal Joints:Problems and Solutions.にある。
一般事項
ある種のSUPERPAVE混合物については締固めの仕様を満足させることに問題がある。しかし、これは今にはじまったことではない。従来のHMAにおいても転圧の仕様を満足させるのが困難な工事は多くあり、満足な密度が得られなかったケースもある。最適の密度を得るためには、SUPERPAVE混合物がローラに対してどう反応するかを知っておくことが重要である。
細粒のSUPERPAVE混合物と従来のHMA混合物の転圧とではほとんど違いがないはずである。一つの違いはSUPERPAVE混合物は砕石分がより多く、それが少しばかり転圧を難しくする可能性がある。
もう一つの違いはSUPERPAVEの容積設計ではマーシャル設計と較べて最適アスファルト量が少なくなることがあるということである。砕石分とアスファルト量がより多いということは、より安定度の高い混合物が得られるということであり、転圧がより困難になるということである。細粒のSUPERPAVE混合物は従来のHMAよりも改質材を適用することが多く、それも転圧の作業をより多く要求する可能性がある。
SUPERPAVEを含めてHMAを転圧する際には、混合物を締め固める能力は流動成分(アスファルトと水分)の全量に関係する。水分量が多ければ、混合物は軟らかさ(テンダー)の問題を生じることがあるが、水分がそれほど多くなければ軟らかさの問題は生じない可能性がある。
粗骨材量の多い粗粒のSUPERPAVE混合物は、細粒の混合物とは際だって異なる動きを示すので、転圧の際にはこのことを頭に入れておかなければならない。粗粒の混合物は冷えやすいということがよくあり、転圧できる時間が少なくなる傾向にある。このため、ローラーを追加して準備する必要を生じ、こまめに転圧温度に注意を払う必要を生じる。
重要なのは、舗設現場の関係者とプラントの関係者とが連絡しあうことである。ローラー下の混合物がおかしな動きをしていれば、プラントで何らかの変化があったということである。プラントでの製造物の変化で一番有り得るのは、水分量の変化である。水分の変化はHMA混合物の取り扱い性および締固め性にかなりの影響がある。場合によっては、プラントでのほんのわずかの水分量の変化が、転圧に大きな変化をもたらす。したがって、混合物の様子がおかしいときは、プラントを呼び出して何か変化があったか確かめるのがよい。現場で適切な締固めができるようにするのには、混合物をわずかに変えるだけでよい。良好な締固めに関する初歩的技術は、NAPAの出版物 IS-121, Roller Operations for Quality に示されている。
粗粒度の混合物の密度を計測するのは必ずしも容易ではない。放射線ゲージを用いる場合は、混合物の表面の粗さによる誤差の可能性がある。この誤差をなくすため、砂を敷きならす方法がよく用いられる。放射線ゲージを用いてコア密度と相関をとる場合は、キャリブレーションの際に表面のテクスチャーを勘定に入れなければならない。しかしながら、表面のテクスチャーが場所により異なる場合は、放射線ゲージによるこの方法では密度の計測は不正確になる。工事期間中、コアを随時採って、放射線ゲージのキャリブレーションを確かめるべきである。
研究によれば、粗粒度の混合物は6〜7%の空隙率で透水性がある。コアが透水性の場合、実験室で正確な密度を計測するのは困難である。正確な密度を計測するためには、空隙の部分をシールする方法をとらなければならない。シールしていないと、計量中にかなりの量の水分をコアが吸収し(約0.5%以上)、問題を生じるので、密度を計測するには別の方法をとらなければならない。
試験施工
どの工事でも始める前に試験施工を行って、混合物の容積特性が満足されているかを確認し、舗設および締固め方法を評価しておくべきである。この試験施工は、実工事での施工工程で計画されている施工方法を用いて、同じ混合物温度で舗設し、締め固めることが重要である。
これにより、特定のローラーで混合物がどのように振舞うかを評価することができ、転圧パターンや締固め温度を定めることができる。この時点で放射線ゲージの読みと、鋪装から切り取ったコアの密度との相関をとっておくことが重要である。必要なら、2箇所以上の試験施工を行う。
敷き均し厚
これまで、最も一般的な敷き均し厚は2〜1インチであった。敷き均し厚は最大骨材粒径の2倍が推奨される。この場合、最大の骨材粒径は100%通過のフルイ目で呼ぶのが一般的であった。
今、現在、SUPERPAVEの場合は、最大骨材粒径の呼び径が決められており、普通はこのフルイ目では100%は通過しない。そのため、これまでは3/4インチ(19 mm )の最大粒径とされてきたものは、これからは1/2インチ(12.5 mm )の呼び径で呼ばれることになりそうである。
そうしたことから、他に何の変更が無くとも、従来の2:1という比の代わりに約3:1という比を用いることになる。より粗粒のSUPERPAVE混合物は、やはり粗骨材量がより多く、この比も粗骨材の量の多さを考慮して大きくすべきである。
一般的なルールとして、SUPERPAVE混合物については敷き均し厚は最大骨材粒径の呼び径の3倍以上にしなければならない。
転圧方法
要求される密度を満足させるために役立つローラの最適な運転特性というものがある。SUPERPAVE混合物において最適な密度を得るためには施工業者の関係者は訓練を受けた方がよい。機械メーカーはローラの運転手順に関する情報源と考えられる。多くの機械メーカーは密度の要求を満足させるのに問題が生じた場合に役に立つ専門の技術者を有している。
施工業者は混合物とその転圧との関係を理解しておかねばならない。この理解は、過去の失敗と成功例とから学ぶほかない。工事ごとに使用機械を選択しなければならない。混合物が異なれば転圧技術も異なってくる。ある工事で使用したローラや転圧パターンはほかの工事では通用しないことが有り得る。このようなことは試験施工の時に評価できる。
ローラは一般的にはフィニッシャのすぐそばに置く。転圧の際に混合物が押し出されるような場合は、それ以上鉄輪ローラで転圧するのは有害である。押し出されるような混合物は普通はタイヤローラを用いれば、困った動きはしない。改質材を適用した混合物では、タイヤローラにアスファルトが付着しやすく、工事からはずさなければならないことがある。付着を防ぐには、タイヤを高温に保つことが重要である。風による冷却効果を最小限にするため、タイヤまわりにスカートをはかせてタイヤの温度を保つための助けにしている。
接地圧が低すぎると要求の密度を満足させることが困難になったり、不可能になったりする。
接地圧は鉄輪の場合はローラの重量を増すことによって大きくできる。タイヤローラではタイヤの空気圧を上げるか、重量を増やすことによって接地圧を大きくできる。普通はタイヤローラのタイヤ空気圧は5.6 kg/u〜6.3 kg/u以上であり、一輪あたりの重量は1.27 ton〜2.04 ton以上である。
良いローラのオペレータであるためにはHMAの転圧に経験がなければならない。密度を得られるかどうかはローラのタイプと転圧パターンによるが、オペレータの経験もまた大きなファクターである。SUPERPAVE混合物について良好な転圧するためにはオペレータを訓練すること。転圧方法は敷きならした混合物の動きによって調整する必要がある。混合物が押し出されるようであれば、鉄輪での転圧を中止し、タイヤローラで転圧するか、鉄輪で踏んでも混合物が安定するまで冷えるまで待つこと。
テンダーゾーン
ある種のSUPERPAVE混合物では約93〜115℃の間にテンダーゾーンがあることが指摘されている。この範囲より温度が高いか低いかすれば混合物は満足に締め固められるが、この温度範囲では混合物が軟弱になり、適切な締固めができなくなる。これはすべての混合物についてというわけではなく、ある種のSUPERPAVE混合物に見られるものである。このような混合物はタイヤローラならこの温度範囲でも満足に転圧できるが、前述したようにタイヤローラは改質材が適用されている場合には付着の問題がある。ゴムタイヤへの付着を防止する方法についてはローラのメーカーに相談するのがよい。
中温域でテンダーゾーンのある混合物が製造されている場合は、テンダーゾーンまで温度が下がらないうちに密度が得られるよう転圧するのがよい。このためには追加の初転圧用のローラを要し、転圧方法も変える必要があったりするが、テンダーゾーンまで冷えないうちに密度をえるのが望ましい。場合によっては、混合物の温度を若干上げて、締固め時間を多くすることも考えられる。しかし、温度を上げすぎると問題がさらに大きくなる。もう一つの選択は、テンダーゾーンに達する前に鉄輪の振動ローラを用い、テンダーゾーンではタイヤローラを用いる方法である。仕上げ転圧は混合物温度がテンダーゾーン以下に下がってから行うこと。この第二の方法はタイヤローラへの付着が多すぎる場合にはうまくいかない。
もう一つの可能性は、テンダーゾーン以上の温度では鉄輪で初転圧し、HMA混合物がテンダーゾーン以下になってから転圧を完了する方法である。この方法は多くの工事で実施例があるが、混合物の冷え方の違いや、混合物温度が93℃以下になってからの振動をかけての転圧で骨材が過度に破砕されるなどの問題を生じる可能性がある。したがって、約93℃以下では振動モードでの転圧はかけるべきではない。
テンダーゾーンのせいで、現場密度が得られなかったり、舗設機械編成の長さが混合物の冷却時間のために長くなりすぎる場合は、テンダーゾーンを無くすか、最低限、少なくなるよう、配合設計を調整しなければならない。重要なのは舗設現場の関係者がプラントの関係者とコミュニケーションすることである。
SUPERPAVE混合物の品質管理は従来のHMA混合物と異ならないが、以下に述べるような違いがある。粗粒のSUPERPAVE混合物は細粒の混合物とは見た目が異なる。粗粒の混合物は骨材の表面積が小さいため、また、場合によってはアスファルト量が多いため、見た目がアスファルトリッチに見えやすい。見た目だけで混合物の配合割合を変えたりしないよう注意しなければならない。変える場合には、容積特性を試験して必要な情報を準備しなければならない。
一般的に、SUPERPAVEで規定する骨材の特性は混合したものについてであって、個々の骨材についてではない。試験を行う場合は混合した骨材について行うべきである。それらの試料をどこから採取したかが結果に影響する。また、重要なのは混合した骨材であるので、再生骨材を用いる場合はそれも解析の際に含めなければならない。
骨材試料がプラントに投入する前に採取された場合、その特性は混合後とは異なる可能性がある。骨材はドライヤーの中で転がるうちに丸味をおびる傾向がある。このため、細骨材の稜角度が減じることがある。骨材がプラントを通る間に、さらに細骨材が生成されることも有り得る。
重要なのは、施工業者と発注者が同一の場所から採取し、同じ方法で試験することであり、そうでなければ、結果の比較は困難である。
粗粒のSUPERPAVE混合物では細粒のSUPERPAVE混合物に比べて破砕がおこりやすい傾向がある。
このため、このような混合物はプラントでの製造後の容積特性が変化しやすい。この情報は混合物の配合設計の際に有用であり、その過程で、骨材の破砕を予想を考慮することも考えられる。
SUPERPAVEにおける骨材の試験はおおむね従来の混合物と同じである。細骨材の稜角度の評価には追加の試験から必要になる。粗粒度の混合物は粒度の変化に対して敏感であることを示す例がある。このため、骨材の均一性が重要になる。
PGグレードのアスファルトバインダの検収は従来のバインダの場合とおおむね同じであるが、改質材をプラントで添加する場合は、改質されたバインダがPG規格の要求仕様を満足しなければならない。このため、付加的な試験を行って、添加後のバインダが適切なグレードに合致しているかを確かめることが必要になる。
正確な結果を得られて比較ができるようにするためには、発注者と施工業者との試験機械がキャリブレーションされていることが重要である。試験設備での試験結果が他の試験室のものと比較可能であるかを確認するため、一斉試験を行うのがよい。発注者と施工業者が平行して試験するのが望ましい。
試験技術者の資格もまた、重要である。古い既存の試験についての有資格の試験技術者もSUPERPAVEの試験のために再度、資格をとることが必要となる。新しい試験がたくさんんあり、古い試験も変更されている。地方ベースあるいは国家ベースで資格取得の手段を講じるべきである。さもなければ、施工業者が州境を越えるたびに再取得しなければならない。工程管理計画に関してはNAPAの出版物:QIP-97, Quality Control for HMA Operationに述べられている。
トラブルシューティング
試験技術者はある問題について、それらしい原因をみトラブルシュートできる必要がある。従来の混合物についてはNAPAのガイドラインがある。SUPERPAVEについてはいくつか追加した方がよい事項がある(表−1)
問題 | 可能性のある原因 | 可能性のある解決方法 |
ダレ |
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現場で透水性がある。 |
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ローラ転圧時に横移動がある。 |
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作業性が悪い |
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本ガイドラインはSUPERPAVE混合物の製造、舗設およぴ締固めについて要求仕様を満足させるのに役立つ情報を提供するものである。このガイドラインはこれだけですべてをカバーするものではなく、従来の混合物における既存の良好な施工方法と併せて用いるべきものである。SUPERPAVEで典型的に見られる混合物の違いは粗粒度の混合物であって、より稜角に富んだ骨材を用い、改質材を多く用いるということである。これらの違いにより、施工手順にいくらか調整を必要とすることになった。本ガイドラインはいくつかの調整のヒントを与えるものである。