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SUPERPAVEの設計ではφ15 cmの供試体をジャイレトリー試験機で締め固めることにより、はく離抵抗性の判定に問題を生じているようです。
問題はAASHTO T283試験法(日本の残留安定度試験に相当、水浸時間は60℃、24時間で必要に応じて凍結を最初に行う。)はφ10 cmのマーシャル法で締め固めた供試体に対するものであり、径の違い、締め固め法の違いによる影響は分かっていないということです。実際、T283で試験すると、マーシャル法ではく離抵抗性に不合格のものが必ずしも不合格にならない例がいくつかの州であるということです。
この試験法と供試体の不整合が、1993年に長期供用性の試験鋪装としてアリゾナ州のルート93に建設された鋪装のはく離による損傷を実験室で判定できなかった原因と見られる。この鋪装は供用5年以内で設計交通量の1/3以下でひどい疲労クラックを生じた。このため、アリゾナ州とFHWA、業界が現地で調査したところ、水分によるひどいはく離が見られ、隣接する従来の混合物では問題がなかった。
アリゾナ州では従来の混合物についてはT283試験の結果、はく離抵抗性に問題が見られたので、はく離抵抗剤としてセメントを加え、SUPERPAVE混合物についてもT283試験を行ったが問題がみられず、はく離抵抗剤は加えなかったものである。
このため、NCHRPでT283をジャイレトリー試験機と整合させるためのプロジェクトを進めており、Nevada-Reno大学で今秋に結果がでることになっています。
はく離に関係するもので最も一般的なのは骨材の性質とそのアスファルトとの相互作用であり、ルート93を調査したFHWAのJohn D'Angelo氏は「以前に問題のあった骨材を使用する場合は、はく離抵抗剤を用いるなど、何らかの対策を講じるべきだ」といっています。
しかしながら、担当者が使用骨材について十分な経験を有しているとは限らず、はく離抵抗性に関してはφ10 cmの供試体をマーシャル法で作成して試験するのが当面の方策のようです。
John D'Angelo氏のところ( john.d'angelo@fhwa.dot.gov)で、さらに詳しい情報があるようです。
感想:ジャイレトリーの締め固め機構は供試体周面がモールドとこすれ合うような動きが予想され、実際できあがった供試体は周面がてかてかになっています。これで残留安定度を試験すると数値がよくなることは当然予想されます。ジャイレトリー試験は個人差が少なくてよい締め固め方法だと思いますが、これを採用するとなると、はく離抵抗性については従来のマーシャル法で、というややこしいことになりそうです。