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FHWA技術短信

ポットホール補修

November/1999 FHWA-RD-99-202)
FHWA contact: Monte Symons, 202-493-3144

はじめに

 アスファルトコンクリート舗装におけるポットホール補修は道路の維持作業の中でも最もよく行われているものである。いろいろある常温混合物と補修工法の供用性と経済効率に関する理解を深めるため、SHRP(Strategic Highway Research Program戦略的道路研究計画)では、これまでにもない大規模な試験、すなわち、SHRP H-106 研究計画を実施した。この研究計画はLTPP(Long-Term Pavement Performance:LTPP)計画に引き継がれている。

研究の目的
 ポットホール試験の主たる目的はアスファルトコンクリートによる表層のポットホールの補修に、どの材料とパッチング工法の組み合わせが最も経済効率がいいかを明らかにすることである。

試験計画
 1991年3月に始まり、1992年2月に至るまで、1,250カ所のポットホールがアメリカからカナダにかけての8つの試験区間でパッチングされた。これらの試験箇所は下記の道路および気候条件の区間である。

イリノイ州、バンダリア,I-70湿潤−凍結地域
バ−モント州道25号
オンタリオ州、プレスコット2号
ユタ州、ドレイパ−、I-15乾燥−凍結地域
カリフォルニア州、アルチュラス、US-395号
オレゴン州、メドックポイント、US-97号
テキサス州、グリ−ンビル、FM 1570号湿潤−不凍結地域
ニューメキシコ州、ラスベガス、518号乾燥−不凍結地域

各種の常温混合物について下記に記すパッチング方法を適用した。

投げ込みとトラック転圧−材料をポットホールに入れ(水、くずは気にせず)、トラックのタイヤで4〜8回踏む。

エッジシール−投げ込みとトラック転圧を行ったのち、アスファルトによるタックコートと砂で周縁部をシールする。

半永久型−水やくずを除去し、周縁部を直角に仕上げたのち、常温混合物を入れてローラまたは振動コンパクタで締め固める。

散布吹きつけ−水やくずを吹き飛ばし、バージンのアスファルトと骨材をポットホールに散布して、パッチの一番上に骨材の層を設ける。

 各試験区間でのパッチング材料とパッチング方法の組み合わせを表−1に示す。
表−1 パッチング材料とパッチング方法の組み合わせ
パッチング材料パッチング方法試験区間
カリフォルニアイリノイニュー
メキシコ
オンタリオオレゴンテキサスユタバーモント
UPM High-Performance
Cold MIx
投げ込みとトラック転圧
エッジシール-
半永久型
PennDOT 485投げ込みとトラック転圧
PennDOT 486投げ込みとトラック転圧-
現地材料投げ込みとトラック転圧
HFMS-2 with Styrelf7投げ込みとトラック転圧
Perma-Patch投げ込みとトラック転圧
QPR 2000投げ込みとトラック転圧
散布吹きつけ散布吹きつけ-
QPR 2000エッジシール-------
半永久型------
PennDOT 485エッジシール-------
半永久型------
現地材料Surface Seal-------
Heat and Tack-------

評価
 各種のパッチング材料とパッチング方法との組み合わせのどれが最も経済性のよいかを明らかにするため、供用性を何度も観察した。パッチングの供用性の観察は1993年3月まではSHRP戦略研究計画でで、それ以降はLTPP長期供用性研究計画に引き継がれた。最終の観察は1995年の11月に行われた。

 評価は設置の完了後、1カ月、3カ月、および6カ月の後に行い、その後は半年毎に調べた。現地での供用性評価のためにデータの収集は、大きく分けて2種類のタイプあった。1つは、生き残りデータであり、試験区間の中の実験パッチングおよび比較パッチングで、まだ供用できるパッチングの数である。もう1つは、生き残っているパッチングにある損傷程度のデータである。この場合の損傷には、ブリ−ディング、ひび割れ、皿状のへこみ、周縁部の分離・飛散、パッチング自体の抜け、摩耗、押し出し流動などである。
 材料特性と現場での供用性との相関関係を明らかにするため、室内試験値と現場での平均供用性の値、例えば、生き残り率や平均の損傷評価値などとの比較を行った。

主な所見
投げ込みとトラック転圧は同様な材料を用いて、直接に比較すると半永久型と同程度の効果を示した。半永久型はより労力を要し、機械費も高く、生産性は低い。つまり、投げ込みとトラック転圧は、ちゃんとした材料が用いられれば、より経済性がいいということである。
ポットホールのパッチングは一時的な補修を意図したものであるが、この研究で見られた成功率から見ると、数年間の供用に耐える材料もあることが示された。全体的に、56%のパッチングが、供用性観察の最終ラウンドまで生き残っており、破損したものが31%で、13%はオーバレイを行った結果、無くなった。
散布吹きつけは、すべての試験区間で比較対象となるコントロールパッチングと同程度の供用性を示した。しかしながら、この効果は作業員の熟練の程度に依存する。
この実験に参加した8つの道路管理者のうち、3つの管理者が以前に使っていた安い常温混合物からこの研究で用いた材料に切り替えた。1つの管理者は従来の常温混合物によるパッチング方法を散布吹きつけに変えるべく、器材を購入した。

リコメンデ−ション
気象条件が悪い場合は生産性のよい施工方法を用いるのがよい。低温時や降雨時などの気象条件では、パッチングの第一の目的はできるかぎり早くポットホールを補修することとすべきである。どの場合でも投げ込みとトラック転圧散布吹きつけは高品質の補修を非常に速くできた。投げ込みとトラック転圧ではちゃんとした材料を用いるべきであり、散布吹きつけでは器材を良好に維持し、経験を積んだ技能者が作業すべきである。
再パッチングの回数を減らすためには、最良の材料を用いるべきである。品質の悪いパッチング材料を用いて何度も何度もパッチングをすると、すぐ安い常温混合物を購入することにより節約は、ふいになる。たいていの場合、安い常温や混合物による供用性の悪さは、労務費や、機械費、交通規制費や道路利用者の遅れ損失が増すことを考えると全体として高いパッチングとなる。
コストを考える場合、安全と道路利用者の遅れのコストを考慮に入れるべきである。値段の高い常温混合物の購入は、再度のパッチングが不要になることによる道路利用者の遅れ損失の減少による正当化される。同様に、作業員の作業時間が減少することによる安全性が向上することも考慮すべきである。
骨材とバインダの適合性を確かめる試験を行うべきである。可能であれば必ず、常温混合物を製造するにあたって、骨材と5での適合性を見るために小規模の製造を行って試験すべきである。この試験は、新規の組み合わせを用い、これまでの供用性に関する記録がない場合には特に必要である。

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