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2004年度・AAPT・アスファルト舗装技術目次へ
技術セッション 08

Development and Field Evaluation of Energy-Based Criteria for Top-down Cracking Performance of Hot Mix Asphalt

加熱混合アスファルトのわだち割れ・トップダウン・クラッキング発生のエネルギーに基づく現場評価

R. Roque, B. Birgisson, C. Drakos, B. Dietrich

Abstract

 今や、上から入るクラックは加熱混合アスファルトの主要な損傷形態であることはよく知られている。フロリダ州における22の区間での詳細な解析から、このわだち割れをエネルギーに基づいて判断する基準を作成した。この中で、加熱混合アスファルトのわだち掘れは単一の混合物特性からは、とても信頼できる結果は得られないことが明らかになった。 エネルギー比と呼んでいる、フロリダ大学で開発した HMA破壊機構モデルから得られる指標がトップダウン・クラックを生じた舗装とそうでないものを識別できることが分かった。極端に消散クリープエネルギーのスレッショールドが低いか、高いかするような混合物は別としてであるが。このエネルギー比は混合物が蒙ったクリープひずみエネルギーをそれ以上ではひび割れが入るというクリープエネルギー・スレッショールド値で割った値であるが、スーパーペーブの間接引張試験を用いて10℃で得られるモデュラス、クリープおよび強度から求めることができる。このエネルギー比で舗装構造特性のトップダウン・クラッキングに対する供用性に対する影響が説明できる。
 したがって、舗装設計の際に適切のアスファルト混合物の特性を取り込むことが可能になる。加えて、交通量レベルの異なる舗装に対して最小エネルギー比を調整する合理的な手順も開発した。結論として、二つのエネルギーに基づく判断基準を加熱混合アスファルトのわだち割れをコントロールするために用いることを推奨する。すなわち、1) 混合物の最小消散クリープエネルギー・スレッショールド、および最小消散クリープエネルギー・スレッショールドを越える混合物のエネルギー比とである。

 もう少しよく本文を見ないと、このごちゃごちゃした用語はスマートに訳せません。データ数は少ないようですが一応、わだち割れを防止できる限界を見極める方法の候補が出てきたようです。試験方法として必要なのは間接引張試験機でのレジリエントモデュラス試験とクリープ試験だけのようです。下に図をつけましたが、Fig.5 の色の濃い部分が消散エネルギーで永久変形に相当し、レジリエントモデュラスとして残存している弾性係数分は回復するので、消散エネルギーには入れないということです。Fig.6の mの決め方はなかなかに悩ましいものがあるような気がします。これが重要な係数になります。
 かなり注目を集め、質疑が盛んでした。ひび割れは下から入るという古典的な理論を破るものですが、そこに疑問を持つ人はいましたが、全体として、実際に経験している現象と一致するという意見です。試験の温度は10℃で行っていますが、日本で観測される温度変化の少ない横断橋の下はわだち掘れを生じないという現象は説明できない感じです。温度に関しては温度変化を考慮すべきであろうという意見があり、著者も同意しています。
 それにしても10年くらい前にISAPで松野さんが Wadachiboreが重要であるとの発表をされたときには、アメリカにはそんなのはない、とか言われたものですが、今やわだち掘れは常識として認識されています。あの折り、そんなのは消散エネルギーで説明できると、まくし立てた人がいましたが、ひょっとすると、その人物がかかわっているかも知れません。Wadachiboreを用語として定着させようという松野さんの企ては失敗したようです。かならずしもわだち部ではないということと、トップダウンの方が現象が理解しやすいということになりそうです。