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アスファルトコンクリート舗装中のポリマー改質アスファルトの再生利用に関する調査
Louay N. Mohammad, Ioan. Negulescu, Zhong Wu, Codrin Daranga, William H. Daly, and Christopher Abadie
ポリマー改質アスファルト(PMAC)が使われるようになってから10年が経過し、これらの舗装が寿命と傷みでやりかえの時を迎えている。
本論文はPMACのリサイクルにおいて考え得る問題、特に新規アスファルトと年数の経ったPMACの混合について検討するものである。SBS改質のPMACの一つを選んで、通常のアスファルトバインダの分級、すなわち、スーパーペーブのPG分級を行った。PMACをアスファルトレジン分とポリマー添加剤分とに分離する方法と、それぞれの相対的濃度を判別する方法を開発した。
赤外線・熱重量分析スペクトログフ試験法で成分の経年変化を識別するのに用いた。抽出回収がバインダの特性に与える影響を確認し、最小限のものであるこが分かった。
ルイジアナ州・Livingston Parishの US61道路で8年を経過したポリマー改質アスファルトバインダを回収した。この劣化したバインダをその構成比とレオロジー上の特性を判別した。残留したポリマーは無く、酸化によるバインダの経年による硬化はかなり進んでいた。バインダは、低温時にかなり脆くなっていることが伸度およびベンディングビーム・レオメータ試験でわかった。経年による化学的およびレオロジー的な硬化がかなり見られ、その特性のすべてについて経年による変化が認められた。 また、新規アスファルトとPMACおよび、US61で回収したバインダをブレンドしたものについても分析した。ブレンドでできたバインダは低温でも高温でも予想よりもかなり硬いものであった。
US61のバインダを様々な混合率で新規のPMACとブレンドしたものと、元の骨材で作成した19 mmスーパーペーブ混合物をビーム疲労試験、間接引張強度とひずみ(ITS)、間接引張クリープ、アスファルト舗装解析装置によるわだち掘れ、および高さ一定繰り返しせん断試験(RSCH)など、一連の基本的工学試験で評価した。試験の結果は混合物中のUS61のバインダの割合が増えると、わだち掘れ抵抗は増すが、疲労抵抗は減じることが示された。スーパーペーブバインダの高温におけるわだち掘れ係数としての G*/sin(δ )と疲労抵抗のパラメータとしての中間温度での G* sin(δ )は混合物の供用性試験の結果とかなりよく符合することがわかった。
質疑に prepared discussionという事務局があらかじめ用意した関連の話題があって、これは質疑の冒頭で発表されますが、submitted discussionと言って、提出されたもの、というのもあるようです。これは最後に発表されています。会議の運営上、正式に発表の機会を与えられなかった論文を、関連部分を発表するようにして発表の機会を増やしているのかも知れません。この論文については両方が登場しています。それだけ関心の強いテーマだということでしょう。
冒頭のprepared discussionで、ポリマーが劣化するという結論のようだが、実地の舗装は20年以上保っているものがあり、現実と合わないという指摘がありました。その前にちゃんとお世辞は忘れていません。理由としてポリマーの重合が経年的に切れた場合、重合が進んで混合物中でネット状になった場合、抽出ではポリマーは検出されないだろう、という感じのことが指摘されています。
訳者コメント:どうも古い舗装からアスファルトを抽出して、そのアスファルトを使って試験しているようです。現実のリサイクルであれば、骨材ごと使うということになりそうですが。この場合も一度は破砕しなければならないので、そのとき、ポリマーが編目を形成していたとしても千切れることになり、それが加熱混合で復活するか?が問題です。とにかく、この研究は世界各国で進めなければならない事項でしょう。結局は何とかしてリサイクルするという結論にしなければなりませんが。