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2003年度・AAPT・アスファルト舗装技術目次へ
技術セッション 14

Role of Adhesion and Thin Film Tackiness of Asphalt Binders in Moisture Damage of HMA

HMAの水分による損傷におけるアスファルトバインダの接着と粘着の役割

Kunnawee Kanitpong1 and Hussain U. Bahia

Abstract

 水分による損傷は様々な要因に起因する問題としてよく知られているが、中でもアスファルトの化学、レオロジー、骨材表面の化学および物理特性が重要な役割を果たす。水分による損傷に関する研究の焦点は多年にわたって現場で使われているように完全な混合物を試験することに当てられてきた。このアプローチは現実的であり、HMAの全体をシミュレートするという意味で論理的でもあるが、損傷におけるアスファルトバインダの役割と骨材の役割を分離するにはあまりにも複雑である。そのため、このアプローチはアスファルトバインダの基本的接着特性と、それが化学あるいは改質によってどう変化するかを見るのは困難である。
 アスファルト研究の世界ではアスファルトは接着剤として受け止められ、またアスファルトの接着性を口にすることはあるが、アスファルトを接着剤として扱い、いろんなアスファルトの接着性を計測することは十分にやってこなかった。
 アスファルトの接着(adhesion)と粘着(cohesion)とを分離することが困難であることは疑いもないが、この二つが多分、別物であることを認識し、個々に計測する方法の開発に焦点を当てることによるしか、この二つのメカニズムを理解の出発点にたどりつかない。
 本研究は接着を粘着と切り離して扱う試みであり、それぞれを別個に計測するシステムを提案するものである。あるアスファルトの各種の鉱物の表面への接着の計測には改良型、引きはがし試験(PATTI)を提案する。粘着の計測には動的せん断試験(DSR)を用いてのアスファルト薄膜の粘り(Tackiness)の計測方法を開発した。この薄膜の粘りはアスファルト混合物で一般に見られる薄膜状態での粘着と関係深い尺度である。
 結果は、接着破壊と薄膜の粘着破壊とを区別すべきであることを教えるものである。また、はく離防止剤やポリマー添加剤などの添加剤は薄膜の粘着よりは、接着の方に異なる影響を与えることがわかった。この研究から示唆されることは、HMA混合物全体の試験にとってかわるものではないが、接着性と粘着特性とを改善したバインダの設計はHMAの水分による損傷に対する抵抗を増すために欠かせないステップであると思われる。

  adhesion、cohesion、tackinessと似た言葉が出てきます。adhesionは多分、異なる材質と間、つまりアスファルトと骨材との間での、いわゆる、はく離に関係するのものでしょう。cohesionは同じ材質の中、アスファルトバインダ内部でのことでしょう。cohesionが接着剤としてのアスファルト自体が千切れるとか損傷することでしょう。Tackinessを言っているDSRは、二枚の円盤にアスファルトを挟んで回転を早くすると抵抗が大きくなるのを測るので、アスファルトが壊れるわけではなく、粘りと考えていいだろうと思います。混合物が破壊、つまりバラバラになるとき、それが骨材とアスファルトの間で壊れるのか、アスファルト自体が壊れるのかは確かに興味のあるところです。普通は、はく離試験で悪い骨材はハジきますが、現場では温度その他の条件が違って、はく離現象も実際にはあるのかも知れません。まあ、目視である程度わかると思いますけど。
 質問の中で tender mixというのが出てきました。アメリカでは転圧のときにグズグズになって締まらない混合物が時としてあるようです。そういうのがテンダーミックスらしいです。質問者の意見では骨材中の水分がアスファルトに吸収されて(水分の体積の1%くらい)、アスファルトのスティフネスが70%ぐらい落ちるのが原因だそうです。そして水が抜ければもとのスティフネスに帰るんだそうです。中温化技術で水蒸気を発生させて粘度を下げて混合・転圧温度を下げるというのがありますが、それと似た現象のような気がします。