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アラバマ州でのスーパーペーブジャイレトリーコンパクタ(SGC)の内部角の評価
Brian D. Prowell, E. Ray Brown and Michael H. Huner
異なるSGCの間で同等の密度を得るためにどれだけ締め固めるかは加熱アスファルト混合物(HMA)の品質管理および合否の判定にとって極めて重要である。どれだけ締め固まるかに影響する重要な要因はジャイレトリー角であると信じられている。本研究では動的角度校正器(Dynamic Angle Validation Kit: DAVK)で計測した内部ジャイレトリー角(供試体モールドの中で測ったジャイレトリー角: 内部角)と供試体の密度を様々なSGC(メーカーと機種で7種、このほかにも最近注目されている機種があるようですが)について評価した。アラバマ州のコントラクター、配合設計者およびアラバマ州道路局のすべてのSGCについてDAVKを用いて校正し、AASHTO T312の規定値(1.23-1.27°)にして締め固めを行っている。DAVKで計測してから標準混合物で同一の供試体を三個を締め固めて供試体の密度用に用いた。これをアラバマ州の全 116台の SGCについて行った。
集めたデータからジャイレトリー内部角と SGCのメーカー、機種との間に明らかな傾向が見られた。内部角と供試体の密度にも明らかな傾向があり、全体としてはっきりした傾向がある。この傾向は Interlaken社とRainhart社のものについては当てはまらないようである。しかし、Interlaken社のものについては、ある傾向がある。SGCのメーカー、機種(InterlakenとRainhartは除いて)の平均で見ると、内部角が0.1°違うとGmb(かさ密度)で0.015、空隙率で言えば0.6%の違いが出る。個々のSGCでは外部ジャイレトリー角と供試体密度との間にはある傾向が見られるが、異なる機種間では傾向は見られない。
AAPTの会議ではときどき、prepared discussionというのがあって、発表論文と比較、あるいは補完するような資料が質疑の先頭で行われることがあります。非常に関心の高い内容のときに行われるようです。ジャイレトリーの精度がメーカー、機種で違うとなると大変ということで、全米的に関心が高いようです。アラバマ州だけで116台ですから、全米で数千台あるのでしょう。
ジャイレトリー角が大きく影響するのは確かですが、角度を構成する方法はメーカーにより様々で、同じメーカーでも機種が違えば違ったりするようで、中には当社でも買ってお蔵入りしたRainhaltのように校正方法がまったくないものもあります。FHWAでは、専用の校正器としてDAVKを開発しています。これは供試体モールドの中に入れて、底板あるいは押さえ板に固定して、モールド側面の傾斜を測るようになっています。右の図でアルファが外部角、つまり外見上のジャイレトリー角です。σTは押さえ板に付けた場合の内部ジャイレトリー角、σBは底板に付けた場合の内部ジャイレトリー角で、板の変形が影響し、押さえ板の方が普通は剛性が低いのでジャイレトリー角は小さくなるようです。
外部角と内部角が違うのはモールドは通常、ローラーベアリングで支持され、ベアリングが摩耗するとガタがきて違ってくるのもあるような気がします。ジャイレトリーコンパクタはローラーベアリングで大きな荷重をしかも不均等に受ける構造になっているので摩耗も激しいものと思われます。
質疑の数も多かったのですが、結論としては、まだこれからも調査を続ける必要があるということのようです。アメリカでは密度の違いで支払いが変わる契約もありますので、大変な問題です。