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アスファルト混合物のせん断モデュラスを求めるせん断周波数スウィープ試験のばらつきの評価
R. Michael Anderson and Robert B. McGennis
SHRPの研究が終了してアスファルト業界にはスーパーペーブの設計解析システムが導入された。SHRPの研究者が開発した、この配合設計システムは容積配合設計、機械特性試験、およびアスファルト混合物の供用性推定のための解析で、特に重交通で大きな応力がかかる舗装に対するものである。そしてスーパーページせん断試験機 (SST) が AASHTO TP7として機械特性の試験法に採用された。
SHRPの成果を実施に移すにあたってFHWAは、この AASHTO TP7試験法のばらつきの評価の問題にさらされている。ばらつきの実験では精度と偏りの試験を行う前提条件として、提案されている試験手順を、それをもたらす原因を突き止めるものである。
本研究では高さ一定でのせん断周波数スウィープ試験(FSCH)を実施してその、ばらつきを議論するものである。SSTによる試験は SHRPが予定していたようには完全に導入されているわけではないが、かなりの数の道路管理者がこれを用いて、この試験手順に付帯する変動に関して調査するべくアスファルト混合物の機械的特性試験を行っている。
せん断周波数スウィープ試験でのばらつきの評価から、試験温度が 10 Hzの載荷周波数 (G*10Hz)でのせん断モデュラス(スティフネス)にかなり影響することがわかった。
しかしながら、AASHTO TP7で規定されている許容温度範囲 (±0.5℃)は、リーズナブルなように思われ、予想されるばらつきは G*10Hzにおいて約 10%である。供試体の空隙率も G*10Hzでの測定値に影響するが、ばらつきの評価によれば、それほどではない。
供試体の空隙率の許容範囲 ± 0.5%では、同様に G*10Hzにおいての変化は10%以下であるはずである。その他の主要な要因も有意でないと考えられた。NCHRP 9-19の研究ではアスファルト混合物の機械特性の試験法として軸方向試験を推奨してきたが、試験のばらつきの問題と主な原因は、そのまま変わっていないようである。言葉を換えれば、せん断周波数スウィープ試験結果の試験温度、空隙率あるいは適用ひずみに対する感度は動的モデュラス試験結果の感度と似たものである。
質疑として、同じ供試体を二度使いすることについて、一度使ったときの損傷が、次の試験に影響するので、試験順序の影響もあるはず、といった趣旨の質問があり、著者は、その可能性はあるが、時間の節約のために二度使いしたが、あまり問題はないようだ、と回答しています。見た目に壊れるような試験ではないので、二度使いしたくなるのは当然です。実際のところはどうなのでしょう。とにかく、SSTによる試験はめちゃくちゃ複雑な制御をする試験で、とても現場レベルでは使えそうにない試験法です。