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2002年度・AAPT・アスファルト舗装技術目次へ
技術セッション 03

Acid/Base Chemistry for Asphalt Modification

アスファルトの改質における酸性/塩基性の化学

Gayle King, S. W. Bishara, Glenn Fager

Abstract

 スーパーペーブの出現により、十分なモデュラスを有してわだち掘れに抵抗でき(Th)、しかも温度クラックを防げる限界スティフネスの温度限界(TI)が広いアスファルトを必要とすることになった。酸性および塩基性の改質剤が、アスファルトのスティフネスを改善し、Thを、TIをそれほど損なうことなくアスファルトのスティフネスを向上させることが示されてきた。これらの改質剤はポリマーなど、アスファルトの感温性の改善に用いられる、ほかの改質剤にくらべて、低コストであり、供用性等級(PG)のアスファルトバインダに焦点を当てた競争環境において、他を圧する勢いで使用されている。アミン系はく離防止剤(ASA)は、長らく水分の有害な影響を軽減するためにアスファルト混合物に添加されてきた。アミンのはく離防止性は、一般に水の存在下において、骨材表面と強い親和性を示す、窒素の単独電子対によるものとされている。
 このような塩基性の添加剤が酸性材料で改質されたアスファルトに添加されたときにどうなるのか?化学の基本的な法則として、酸性の改質剤と塩基性のASAは相互に反応してアミン塩を形成することがあり得る。これは、いくつかの問題を提起する:
酸性の改質剤が中性化するとわだち掘れ抵抗性は落ちるのか?
活性の電子対が酸の陽子(H+)によってブロックされてもASAの水分に対する抵抗性は保たれるのか?
化合物として生成された塩化物は、アスファルト膜の透水性を高めたり、熱、水分や交通のもとでアスファルトを乳化させたりして、水分による損傷を招かないのか?
 これらの問題を調べるために、カンサス州・輸送局下(KDOT)は調査研究を開始した。第一段階は、バインダに関する研究で、動的せん断レオメータ(DSR)による、各種のリン酸(H3PO4)と、二つの異なる脂質imidazolineはく離防止剤と、酸とイミダゾリンとの混合物の濃度を持つアスファルトバインダについて、Thの計測を行うことであった。これらの同一のバインダはトルエンに溶解したのち、水で抽出してpHを求め、液相中へのアスファルトの乳化の可能性を調べた。第二段階は混合物のはく離に関する調査であった。水分に対して反応性の高い骨材を、様々の酸性または塩基性の組み合わを添加した。理論的に見て、現場のアスファルトの乳化をシミュレートするためには、機械的載荷が必要なので、ハンブルグ、アスファルトホイールトラッキング試験をKDOTの残留引っ張り強度試験(KT-56)と平行して行った。
発見された主な事項:
リン酸添加剤は高温域においてアスファルトのスティフネスをかなり向上させる。酸がもっと高濃度になれば水分による損傷が生じる可能性がある。
この調査で用いた混合物については、ホイールトラッキング試験でも、KT-56でも、ASAは水分による損傷を一貫して減少させた。
リン酸はASAと反応する。この両方の添加剤を同一混合物に用いた場合、バインダのThはかなり低下し、ASAの活性は低下して、有機塩が形成される。KT-56もホイールトラッキング試験もかなりの水分による損傷を予測させる。
ASAの添加が必要な場合は、バインダのThはアミンを添加したのちに決定して仕様化する必要がある。
ホイールトラッキング試験は酸性あるいは塩基性の改質剤を含む混合物のはく離性に関する情報を得るのに有効である。