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勾配の表し方にもいろいろあるようです。まず、道路の勾配、これは縦断方向も、横断方向も%(パーセント)で表します。100mで何m、上下するかを示していると考えてもよいでしよう。 鉄道では縦断勾配は1000mで何m、上下するかを示す‰(パ−ミル)を使います。鉄道では道路よりもゆっくりした勾配をつけるので、0.25%などと言うより、2.5‰と言った方がわかりやすいためでしょう。横断勾配は曲線部だけでつけられ、カントと呼ばれます。こちらはパーセント表示です。道路でもカーブなどで一方向にだけ勾配をつける片勾配のときはカントという呼び方もします。道路の方はカーブでなくても排水の都合上、横断勾配を1.5〜2.0%つけます。両方向に勾配をつけるのですが、これを屋根勾配、拝み勾配などと言います。拝み勾配の方はトンネルで両方の入口から上り勾配になっている場合にも使います。両方の入口から掘り進む場合は工事中の排水の関係でこうなります。掘り進む前面に水が溜まるのは避けたいですから。片押しで掘る場合は当然、低い方からになります。 04/08/24に質問が来たのですが、会社名から山梨県だと思いますが、屋根勾配に相当する言葉としてパラボラという言葉が役所関係で使われているそうです。これは間違いですか?というものです。いや、聞いたことはありませんが、ピンと来ます。昔、機械施工が普及しないころは、路面、特にアスファルト舗装は放物線状に仕上げていました。古い図面では外国の図書も同じですが、放物線状に描かれていました。昭和30年代のはじめまではそうだったように思います。想像ですが、中央から新しがり屋の役人が赴任して、かっこよくパラボラという言葉を使ったのが定着したのだろうと思います。今は放物線は使いませんので間違いと言えば間違いですが、歴史の見える言葉で、一概に誤りと指摘するのもどうか?という気がしますが、古いことを知らない人は何のことか分からないかも知れません。放物線が特段良いと言うわけでなく、砂利舗装とか人力の時代は自然とそういう形になり、それが当たり前のようになったのでしょう。ついでに言えば、この放物線形の勾配をかまぼこ(勾配)と呼んでいました。これは今でもよく耳にします。古参ロートルが居る間のことだと思いますが。ついでに言うと昔はほとんどこれを描くために雲形定規が使われていました。雲形定規はいろんな形のが数十枚セットになっていますが、実際に使うのは ほんの数枚で、よく使われるものはどこか行方不明になるのが常でした。 切土や盛土の斜面、つまり法面(のりめん)、よう壁などの勾配は、垂直距離を1として、水平距離を1割5分などと表現して、1割5分勾配などといいます。なぜか、この場合、垂直距離:水平距離は1:0.15ではなく、1:1.5で、どうも腑にに落ちない点もありますが、多分10割以上の数字というのを嫌ったのでしょう。石積みなどでは3分勾配程度になります。 屋根の勾配も面白い呼び方をします。屋根の勾配は水平距離1尺につき何寸上がるかで、3寸5分勾配などといい、垂直距離1尺につき何寸、水平距離があるかで、3寸5分かえし勾配などといいます。ころび勾配ともいうようですけど。とにかく、1尺以内でことを済まそうというわけです。これらは伝統的な屋根ですが、近代建築では35°とかの角度で表す角度勾配、高さ/水平距離を分数で表した分数勾配というのも使われます。45°の勾配はとくに矩(かね)勾配と呼びます。矩というきっちりした角という意味で、直角の意に用いられるのが普通で矩形もそうですが、45°もきっちりしているということでしょう。なぜ矩をかねと呼ぶかは大工さんがよく使う矩尺(かねじゃく、曲尺とも書く)が金属でできているためのようです。お寺勾配というのがあるそうです。盛土した法面がお寺の屋根のように反ったものをいうようです。これは施工が悪いのでしょう。反対にふくらんでいるのははらみで、これも良くはありません。 縦断勾配 grade, gradient, incline pente longitudinal, pente courante, déclivité Straßenlängsneigung, Längsneigung, Neigung 横断勾配 crossfall, cross slope pente transversale Querneigung 片勾配 superelavation dévers Querneigung カント cant 屋根勾配、拝み勾配 normal crown Dachprofil, Dachformneigung | |||||||||||||