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建設用語中辞典(英仏独和) | 建設関連官庁等 | 県別自治体リンク(50音別も) | 作者のページ | お問合わせ

英語の資料などを見ているときに、何だ、これ、どうしてそんな意味なの、といった言葉があります。その語源を追跡してみました。

Round RobinRule of thumbturn pike
have a hatchet
 to grind
literal expression
figurative expression
breakfast
lunch
dinner
supper
shutterbug
その他のbug
three dog night pain in the butt
nickled and dimed to deathemperor, kingpartian shot
partian glance
Adam's Apple

Round Robin ラウンドロビン
 英語の資料を見ていて、Round Robin Testというのにぶつかりました。最初のときは、round robinを研究社 リーダーズ+プラスCD辞典で引いて、
「1 円形上申書[抗議書] 《署名順を明らかにしないための》; 数人の連署による上申書[抗議書]; 《受取人が順次署名し, しばしば追記していく》 回状。 2 円卓会議; *総当たり戦; 連続, 因果的連鎖。」
とあって納得したのですが、次には、いったいなぜ、そういう意味になるの?と、気になり出しました。ネット様に訊いてみようと思い立って検索したら、最初に出てきたのが、ある掲示板で、訳してありますけど、
Hello,

私の質問は"round robin"という言葉の意味、そのものではなくて、この言葉の語源なんですけど。

誰か、最初に、この言葉を使ったときのことについて知っている人はいませんか?

thanks,

Josip
とありました。あちらでも気になる人はいるというわけです。これには回答があって、
 私の理解では、この言葉は海軍の歴史からきたものです。乗組員が不服などがあって上申書を書くとき、 申立人が普通に並べて署名すると、最初に署名した人が反乱者ということになって銃殺されてしまいます。みんなが、円を描くように (round fashion)署名すれば、誰が首謀者がわからない、というわけです。
ということでした。
 でも、なぜ、robin コマドリなの? これが気になります。探していたら出てきました。 ラウンドロビンパーティー、つまり回り持ちパーティーについて、やはり同じような質問をした人がいて、その答えです。
 この言葉は実際はコマドリとか、ほかの何の小鳥とも関係はありません。 この語句の中の "Robin" はフランス語の "ruban"、つまり、英語ではリボン "ribbon"で、その語源は、パーティーとはかけはなれたものです。17世紀、18世紀のフランスでは、普通の百姓たちはいっぱい不平があったようです。しかし、王様に一人で申し立てるのは、大変良い考えとは言えませんでした。王様の領民からの申し立てに対する、一番普通の回答は、署名してある最初の二、三人を捕まえて、首をはねることでした。 首は無くしたくないけど、正義の申し立てはしたい、百姓たちは一策を案じて、申立書に丸く、リボンのように名前を書くことにしました。 これだと、誰の名前も最初にならず、署名者が数百人もいるとなれば、王様も署名した全員を罰するのは実際上むずかしいというわけです。 同じようなやり方が、18世紀のロイヤルネービー、つまり英国海軍(ほかのところは、批判は歓迎しないようなので)とかの、水兵たちの間で行われました。水兵たちは、上申書に車輪のスポークのように署名を並べて、誰も反乱の首謀者として首つりにならないようにしました。
というわけです。これで、私の疑問も氷解というわけです。

 ところで、今、ラウンドロビンが使われている意味は、持ち回りという意味で、例えば、いろんな試験所が使っている試験機が、同じ試験機であっても結果が違うのではないか?という疑問があったとき、まったく同じと考えてよい材料を各試験所に配布して、いっせいに試験して結果を持ち寄って比較する、持ち回り試験みたいなのがラウンドロビンテストでしょう。この場合、何も身分を隠す必要もないわけで、もとの意味とは、かけはなれていますが、連想として、また、言葉が、何となく可愛く、面白いので、いろんなところで使われているようです。どの使い方も平等に責任を持つという意味では元の意味とつながっているようです。
 そういえば、役所、会社をとわず有る、はんこの行列、これもラウンドロビンに似て無くもないようです。無論、これには順序があって、本来は一番最後にはんこをついた人が責任者ですが、まずいことがあって罰せられるのは、最初にはんこをついた人という場合が多いのでは? とすると、やはりラウンドロビンとは違うか? 多分、ハンコの順序というのは最初の人が、まずは全責任があり、次の人が押すと、その責任の半分を転嫁し、その次の人が押すとまたその半分を転嫁する、という具合でトータルとしては一つの案件に対して一人分の責任があるという具合なのでしょう。最初の人が一番責任が重いわけですが、10人の部下がいれば 5人分の責任があり、その半分をその上の人に転嫁するので 2.5人分の責任ということになるのでしょう。係長、課長、部長と個々の案件については責任は順に半分になっていきますが、社長は次に転嫁する人がいないので、部長と同じだけの責任を持つことになり、全体としては部長全部を合わせた責任と同じだけの責任があるということになり、社長の責任が一番、重くなるのは間違いありません。

Rule of thumb ルールオブサム
 珍しい英語の言葉があると、英語を母国語としている人なら、なぜ、そういう言葉か、そういう意味なのか、当然知っているだろうと思います。ところがそうでもないようです。まあ、日本人だって、語源を知らない言い回しを使っていますから当たり前と言えば当たり前ですけど。
 Rule of thumbは技術論文でもかなりよく使われる言い回しです。目の子で(あれっ、この言葉の語源は? 広辞苑によると、ソロバンなどを使わずに目で数えることとかで、好色一代男にそういう記述があるということです。)とか、だいたいのところ、といった意味に使われています。ところが、これがどうも女性蔑視の言葉であって、それを知っている女性が聞くと不愉快な言葉らしいのです。
 これが、アメリカでも大議論になったことがあって、WMST-Lという女性の教師、研究者、司書などの電子フォーラムで1993年5月から1995年2月にわたった議論をまとめたものが、http://research.umbc.edu/~korenman/wmst/ruleofthumb.htmlにあります。まとめたというより、羅列してあるので、全部は紹介しませんが、確かに女性蔑視の言葉であるという証拠みたいなのもあれば、そうではないという根拠も提示されています。
 何が女性蔑視なのか、というと、rule of thumbというのはイギリスの独特の成文でない慣習法として、判例が法になるという、いわゆるコモンロー common lawの中で、男性は、その妻を親指の太さ以上の棒で叩いてはならない、裏返して言えば、叩く権利があるということで、そういう判例があるということです。アメリカでもそれが踏襲されたケースがあったらしいです。イギリスの女性も昔は奴隷的な地位にあったということのようです。それが、当たり前、理屈の通らない理の当然といった常識があって、現在の使われ方に転じたというわけです。
 反論もあって、そういう話もあるが、今、使われている意味はそこから来たのではなく、大工とか、木を扱う職人が、だいたいの寸法を計るのに親指を物差代わりに使っていたことから来ているのだ、というものです。そして、17世紀には今の意味に転じたということです。
 私が思うには、親指はものの寸法を計るには、あまり具合のいい指でもなさそうな気がします。太さの方がまだ、わかるような気がします。結局、今となっては正確な語源はわからず、やはり、あまり用いない方がいい言葉だろうという気がします。

Turnpike ターンパイク
 ターンパイクが有料道路というのは箱根ターンパイクなどで知っていましたが、それがなぜ、有料道路なのか、気になっていました。今は、ネットが便利になって、たいがいのことは分かるようになりました。これも調べてみたら、Slang and Cant in the Toll Gateというページがあって、もともとは「木枠に矛というか、大釘がいっぱい突き出たのが回転する、ちょいと物騒な遮断器」みたいなもので、Tollというのは、語源的には税金らしいですが、関所で通行税を取っていて、そこにある遮断器が turnpikeだったのが、そういう遮断器のある道路、すなわち、有料道路ということになったようです。

have a hatchet to grind  (have an ax to grind)
 50年も前、高校時代の大学入試模擬試験の英語の試験問題に出ていたものです。なんで覚えているかというと、この言葉の意味を記せ、とあって、あてずっぽうで、「胸に一物ある」と書いて、あとで三省堂のConcise辞典で調べたら、大あたりだったのです。無論、いきなり意味を書け、というのではなく、語源として、元になる話がもちろん英語で書いてあって、その上での話です。
 この言葉を思い出して、元になる話はうろ覚えでしかないので、ネットで調べてみたのですが、have a hatchet to grindでは、1件しか、ひっかかりませんでした。意味としては、同じのようでしたが。そこで、手元の研究社のCD辞典で探したら、やはり見つかりません。試しに have an ax to grindの方を調べたら見つかりました。「肚に一物ある」とありました。胸でも肚でもいっしょでしょう。ネットの方でも100件以上、ひっかかってきました。
 hatchetの方が ax より小さい手斧といった感じのようです。試験問題では教科書にある言葉に置き換えるといったことがありますが、多分、hatchetはワシントンと桜の木の話が教科書に出ていたのを覚えていますので、そういうことだったのでしょう。
 元の話の方をたぐってみたら、いろいろな言葉の語源のサイトらしいところで、見つけました。このサイトにもrule of thumbはありました。round robinの方はありませんでしたが。話を戻しますが、この話は何と、アメリカ独立宣言の起草者と言われ、また、雷雨の日に凧を揚げて雷が電気であることを証明したという蛮勇の科学者でもあるフランクリン ベンジャミンの自伝的な物語の中でした。話というのは、
 少年時代のある日、家の砥石の前にいたら、男が近づいてきて、「その砥石は立派だね、でも役に立つのか?見せてほしい」と懐から斧を取り出してわたした。斧が切れるようになったら、男はくすくす笑いながら立ち去った。試験問題では、以後、少年は hatchet to grindを持っているやつには気を付けるようになった、とあったように思います。

literal expression
 これは、面白いのにぶつかったというわけではなく、私が無知から使っていた、「書き言葉」という意味のつもりで、literal expressionについて、Karenという方から、下のように指摘とアドバイスがあったものです。
You wrote "This is only used in literal expression", when what You meant was: "This is only used in written expression" Or, an even better way would be to say: "This is only used in writing". It's an easy mistake to make. "Literal" sounds like "literary" and "literature". But in fact, "literal" is the opposite of "figurative". Take the expression "dying of hunger". If I say "I haven't eaten since yesterday... I'm dying of hunger!" it's figurative. I'm not really dying, I'm just exaggerating. When I say I'm dying, it makes my comment stronger. But if I say: "The dogs hadn't been fed in months; they were dying of hunger." it's literal. The dogs are really starving.  貴方は literal expressionにだけ用いられる、を、「これは書き言葉としてだけ使われる」という意味で使っています。「これは書くときにだけ使われる」とするともうちょっといいでしょう。これは間違いやすいのです。"Literal"というと、文学とか文芸とかみたいに聞こえますけど、実は "literal"というのは "figurateive"、つまり比喩的の反語なのです。「死にそうなくらいひもじい」という言葉を例にとりましょう。私が「昨日から何も食べてないの。もう死にそう」と言えば、これは比喩的であって、私が実際に死にそうなわけではなく、誇張しているだけです。私は死にそう、と言えば、より強く表現できるというわけです。だけど、「犬たちには何ヶ月も餌をやってないわ、飢え死にしかけてるわ」といえば、これは literal 文字どおりです。犬はほんとに死にかけています。
 例文があるので意味がほんとによく分かりました。literal expressionは辞書もひかずに書いてしまったのですが、辞書を見たら、ちゃんと、文字どおりといったような意味が書いてありました。思わぬ落とし穴でした。

breakfast
 ネットで探し物をしていたら、Fastは「断食」の意味で、英語で朝食のことを breakfast というのは「断食を破る」という意味だというのに、ぶつかりました。長年、不思議だと思っていましたけど、これで疑問が解けました。学校でも、こうしたことを教えてくれれば、もっと英語の授業がたのしく覚えやすかっただろうに、と思います。何か不条理なものを覚えさせられるというのは辛いものです。そんなことをしていたら、ほかごとが多くなりすぎて授業にならないとか、覚えることが多く成りすぎて大変かもしれませんけど。でも、ときどき授業の中でそうしたことを混ぜてやれば、授業が楽しくなるのでは、とも思いますが、試験問題にしてしまうと、とたんに苦しみになりそうです。これは試験問題にはしないから、と一言ことわれば、とも思いますが、私などは、断然そうしたことばかりを覚えそうです。
 それでは lunchは何? luncheonというのが食べ物の大きな塊で、lunchは、そのluncheonを食べるということで軽い食事のようです。luncheonには昼食会という意味もあるようです。学会などではluncheon meetingとか言いますが、luncheonだけでも、そういう意味のようです。
 で、supperとdinnerは? supperは間違いなく夕食ですが、dinnerは晩ご飯とは限らず、正餐といった意味で、お昼に食べれば midday dinner、夜、食べれば evening dinnerということになるようです。

shutterbug
 最近、目にしました。やたらとカメラのシャッターを切るカメラマニアのことでした。「シャッター虫」と直訳して使うのがよさそうです。ほかにどんな虫がいるのか、ざっと調べてみました。goldbugは想像どおり、黄金亡者ですが、金本位制支持者の意味に使われたこともあるようです。今はそんな人はいないでしょうが。humbugはペテン師とかほら吹きとかの意味のほかに、でっち上げの不法逮捕の意味にも使われるようです。jitterbugはダンスのジルバのことですが、元をたぐれば、音楽を聴いてついつい体で拍子を取ってしまう人だったようです。ついジタバタするという感じでしょう。kissing bugは、要するにキッス魔です。litterbugは、ごみをポイ捨てする人です。litterがゴミです。月面着陸船のことをmoonbugと言ったこともあるようです。new bugは新入生、新米のことです。presidential bugというのは、大統領の地位への野望を起こさせる熱病菌だそうです。シュワちゃんもそのうち、冒されるかも知れません。bedbugは基本的にはナンキンムシですが、すぐ寝る女ということにもなるようです。phantom bugはコンピュータウイルスの昔の呼び名のようです。幽霊のように見えず、悪いことをする虫ということです。robugというのは robotとbugとの合成語で、最初は吸盤で壁を登るロボットに使われたようです。rug bugは赤ん坊とかガキとかで、うるさい感じのときに使われるのでしょう。

three dog night
 このところ、よく文通しているアメリカのカレン嬢は、ときどき、あちらの慣用句を使って、こちらを戸惑わせます。これも文脈の中では Brrr. It's a three dog night tonight. I'm glad I don't have to go anywhere.とあるので見当はつきます。寒い夜であることは間違いないのですが、それがなぜ?、となると、辞書を引いてもみつかりません。そこで、例によってネットで調べてみました。日本語を選択してもかなりの数が出てきますが、これは 音楽のグループに"three dog night" というのがあるためのようです。英語で見ると、どうやら、極寒の地で野外生活をするような人たちは、通常、犬をお供に連れ添っていますが、寝るときには暖を取るために犬と一緒に寝るというのが実用的な智恵なんですが、その犬が三匹はいるくらい、寒い夜なのです。
 ところで、この慣用句、イディオムですが、文法的にちょっとおかしいと思いませんか?。どうしてdogsではないんでしょう? 不思議に思ってネットで検索してみました。Googleで検索するのを、ぐぐるというようですけど、ぐぐって見たら、"three dog night"では 57,600件がヒットし、"three dogs night"では、はるかに少なくて121ヒットでした。意味が変わるということはないようですが、単数の dogの方が圧倒的に多いのは確かです。これもカレンに尋ねてみます。

pain in the butt.
 これもカレンが使った言葉で、文脈の中では Monday were spent in "orientation", which was a pain in the butt.とあって、「成人式で挨拶を聞くので、ケツが痛くなったぜ」と同様な意味であることがわかります。カレン嬢は芳紀十八才で、「おしりが痛くなったわ」ということになります。それは、それは、ほんとにお気の毒でした。buttは buttockの省略形でしょう。この表現について、ある翻訳家で建設用語中辞典をときに使っているという方から次のような指摘がありました。彼女の場合は実際に尻が痛くなることもあり得たわけですが、いろいろな場面で使われる言葉のようです。ついでに、いくつかの俗語も紹介していただきましたので、ここにご紹介します。まあ、自分では使おうという気は起こさない方がよさそうですが。

He is such a pain in the butt(又はass)! 邪魔な奴だな! うざったい奴だな!嫌な奴!等

Going through a security control at the airport is a pain in the butt(ass). 空港の安全検査はめんどくせーな。

上記はほんの一例ですが、アメリカ映画をオリジナルで見られるとよく聞かれる表現です。

ちなみに "butt" は尻の意味で、下品な言い方になると "ass"になります。 このbuttとassは日常でよく使われる言葉で(フォーマルな場ではよろしくありませんが、)たくさんの表現があります。大抵が相手をけなしたりする場合の用途がほとんどですが...

kiss my ass
ass hole: He is an ass hole. 嫌な奴、等。 日本の若い子風に言うと ”彼サイテー!”みたいな感じです。
ass wipe: 和訳にするとケツを拭く物といった事になってしまいますが、要は相手をけなすために言うわけです。
kick(beat) your ass: I'll kick your ass! これも非常によく使われます。スポーツ、モータースポーツ、喧嘩でも要は勝負のあるものであって、相手に対して”コテンパンにしてやる”とか“勝ってやるぞ”みたいな意味です。

nickled and dimed to death
 これもカレンのメールにあった言葉です。辞書にはなくて、話題がイラク戦争で、毎日、兵隊が何人か死ぬとかの話題で使われていましたので、「ははあ、兵隊が 5セントや10セント玉みたいに犬死にさせられる。」かな、と解釈しましたが、Googleで検索すると、もっと広い意味で使われるようです。「最近の銀行の手数料は我々をないがしろにしていると思わないか?」とか、「君たちはソフトウェアにないがしろにされているのに飽き飽きしてないか?」といった使い方がされていて、必ずしも死とは関係ないようです。カレンが使っているのは "We're being nickled and dimed to death"という言い方で、言葉通りとも解釈されますけど。


partian shot
 これは、あまり知ったかぶりをして使わない方が良さそうです。パルティアン partianというのは、紀元前に今のトルクメニスタン、イラン北部にかけて帝国を築いていた騎馬民族のようです。独自の文物を残していないので、ギリシャ、ローマなどの間接的記述しか無く正確なことは分からないのですが、この言葉は英和辞典にも出ています。非常に騎馬に長けていて騎馬で全速力で駆けながら真後ろに矢を射ることができたということです。このことから、partian shotというと、最後の一矢、捨てぜりふといった意味になります。partian glanceは最後の一瞥ということになります。

emperor, king:皇帝と王、そして天皇
 皇帝と王はどう違うのか? emperorの語源となったローマの imperatorは最高の軍司令官です。このローマは幾多の国を征服して、王国を従えるようになり、いつしか皇帝は「王の中の王」ということになりました。すなわち、皇帝となるには王国を従える必要があります。日本の天皇はその意味で、満州国、朝鮮国を従えた時代だけが皇帝と言え、emperorと呼べることになります。英訳するときに、かっこつけて単なる kingではないとしたのか、外国から見て、大名を王と見立てて、emperorとしたのか、多分、後者でしょう。でも、日清戦争、日露戦争の宣戦布告は「大日本国皇帝」の名で発せられたということです。
 古くは「漢委奴国王」や女王卑弥呼の「親魏倭王」などに見られるように、中国からは王として扱われているようです。天皇については遣唐使が国書に天皇の呼称を使っていたという説もありますが、確認はされておらず、中国側は王としていたようです。天皇の呼称が初めて使われたのは、推古天皇(592〜628)の時代とも天武天皇(672〜678)の時代とも言われています。それ以前は オオキミ 大王という呼称だったようです。イギリスは大英帝国というくらいで、emperorの資格は十分にあったはずですが、伝統を重んじるこの国では Kingで通してきたようです。というか、自称は United Kingdom つまり、連合王国で、帝国ではありません。今どき、帝国を名乗るところはないでしょうが。emperorの定義からすると今の天皇は kingでしょう。
 天皇の呼称として、ミカド、帝というのがあります。これはまさに"やまとことば"のように思われます。帝は後に宛字をしたものでしょう。ところで、この「みかど」は何を意味するのか、これが分かりません。多数派の解釈は天皇の居所を「御門」と呼ぶことから来たということのようです。門は「笑う門には福来たる」の門で家の意味、ミをつけたのは敬称でしょう。天皇のことを、直接、天皇と呼ぶのは畏れ多いとされていたようで、「みかど」という言い方ができたようです。
 もう一つ説があって、これは今はリンク切れになっていますが、「日知り事典・神々の歳時記」(リンク復活してもらいました)の中にあるもので、Googleで「ミカド "角を見る"」で検索してキャッシュを見ると出てきます。「角を見るからミカド。「門を見る」立場のお方。大王と書いてオホキミと呼んだが、オオキミとは太陽の柱(大きな木ではない)を見た方であり、或いは「ミカド」とは日影の角度を見た方である(「御柱」、「玉串」を参照)。特にミカドは墓地を守るために、殿(みあらか)に居ついて太陽を観測し、柱、即ち御門(神門・鳥居)の日影の角度の作る日影のラインを観測して暦を作定したヒジリ。こうした立場の官職が御門、帝(角を見る方)、オオキミ・太政大臣(オホキオトド)、弁官、目(さかん)などであり、その筋の家では野に下っても衛門などと「門」の一字を世襲(襲名)した。」とあります。これ一つしか出てこないので真偽のほどは分かりません。書き方を見れば相当の物知りの人が書いたものでしょう。ちょっとオタクっぽい感じはありますけど。
 現代では天皇に話しかけるときは、「陛下」となるようですが、これは天皇に直接話しかけるのは、これも畏れ多いので、「階段の下にいる取り次ぎの方に申し上げます」といった意味らしいです。
 ついでにアラブ首長国連合というのがありますが、首長というのは Emirの訳ですが、要するに王で、Emirateは Kingdomと同じでしょう。しゃにむに英語にすれば「United Kingdom of Arab」と大層な呼び名になりそうです。

Adam's Apple アダムののリンゴ
 ハリーポッターの英語版を読んでいて、ハリーたちがデス イーターの策略に引っかかって魔法省に忍び込み 緊張のあまり心臓がノドボトケにぶち当たるくらい動悸がするというシーンで Adam's Appleが出てくるのですが、意味は のどぼとけ 喉仏です。なぜ これがノドボトケなのか気になります。
 よく見られる簡単な説明はアダムとイブが禁断の木の実を食べた故事による というものですが、これでは納得がいきません。もう少し見るとアダムが食べた木の実はノドに引っかかり、イブが食べた木の実は乳房になった というのが出てきます。しかし聖書に そんな話が書いてあるわけではありません。誰かが作った話でしょう。
 こんな話に理屈を持ち出すのも大人気ないことですが、だいたい どんなに小さいにしても林檎を丸のみにするはずはないだろう と思ってしまいます。サクランボなら とも思いますが、ノドボトケとしては小さすぎるようです。乳首にはちょうどよい大きさですけど。50年ほど前 スリーキャッツのヒット曲 「黄色いサクランボ」が乳首を連想させたように。
 もう少し調べてみると 誰も確信があるわけではないが、ノドボトケはヘブライ語で "tappuach ha adam"で tappuachは林檎 adamは単に男という意味で全体として「男のデッパリ」という意味ですが、これをラテン語に翻訳するときに "pormum adami"と訳し さらに各国語に翻訳するときにアダムが人名になったいうのが出てきます。こちらがほんとらしく思えます。