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2004年度・AAPT・アスファルト舗装技術目次へ
技術セッション 03

Damage Evolution in Triaxial Compression Tests of HMA at High Temperatures

高温時の加熱アスファルト混合物の三軸圧縮試験における破壊の進行

L. Tashman, E. Masad, D. Little, R. Lytton カリフォルニア農工大

Abstract

 本論文は比較的高温時における加熱混合アスファルト(HMA)の損傷の進行の特徴を把握する実験の結果について述べるものである。3種類の拘束圧と、あらかじめ定めた4段階のひずみレベルのもとで HMAを三軸圧縮試験を行った。載荷前、載荷後の HMA供試体を X線トモグラフィーで HMAの中のミクロな構造(マイクロストラクチャ)を把握し、画像解析によって変形の全過程での空隙とひび割れの進展を把握した。空隙の成長とひび割れの進行とを区別するための画像処理技術を開発した。この二つの現象は、それを引き起こすメカニズムが異なるので分けることが極めて重要である。本論文を通じて空隙というときは、空隙および空隙とひび割れの複合したものを指すこととする。
 HMAの損傷はマイクロストラクチャの硬化の期間の後に引き起こされる。また、損傷はある特定の部位で生じ、それが破壊の主因となる。この特定の部位におけるひび割れの進展は供試体の他の部位と比べて有意に大きい。研究では供試体の上部にかなりのひび割れが見られ、中間部ではかなりのダイレーションが見られ、下部ではマイクロストラクチャの変化はあまり見られない。供試体の中でこのように違いが出るのは主として HMAのマイクロストラクチャが不均一であることに起因している。
 本研究の結果は高温時の HMAの永久変形による損傷の進行に関する知見にかなりのインパクトを与えるものと思われる。これらの結果は著者が開発した HMAの永久変形に関するマイクロストラクチャ粘組成連続モデルの形成の段階で詳述している。また、試験室で喫緊の必要として均質な供試体を作成することが必要であることをしめしている。さもなければマイクロストラクチャの不均一性が実験室における試験結果の解釈を非常に困難にすることになろう。もっと重要なのは、この研究で見つかった事項は永久変形モデルの開発にかかわるアプローチに影響するであろうことである。これらのモデルは永久変形の進行が部位によって異なることを考慮にいれる必要があるということになる。

供試体は101.5 mm径、157.5 mm高でジャイレトリー試験機で締め固め、試験温度は54.5℃になっています。供試体を破壊せずに断面を輪切りで見れるというCTスキャンの威力が発揮されています。(独法)土木研究所あたりで装置を買えば、部外研究員が殺到するかも知れません。著者は等質の供試体を作ることの重要性を主張しているようですが、私の考えではどんなに等質にできていても下面固定で上面で変位を与える載荷の仕方(三軸載荷は一般にそうではないでしょうか?)から見て同じ結果になるように思います。上部で変形が生じた分、下部に伝わる変位なり、応力なりは減殺されるでしょうから。
 試験はひずみ速度一定で破壊するという、通常の静的破壊試験を途中で中止しては CTスキャンをかけるというやり方です。質疑では、この間に自然治癒:ヒーリングが起こっているのではないか?とか、繰り返し載荷でやれば、ヒーリングと応力再配分が起こって違った結果がでるのではないかと指摘があり、著者も後者については認めています。前者については、中断時の永久変形の回復は見られなかったといっています。また、端面での拘束が大いに関係があります。この点についても質問があり、一応、潤滑剤を塗布してあったようですが、破壊の形状を見る限り明らかに影響が出ています。著者は二つの供試体を一つは上下逆にしてやってみたが、供試体の底の部分を上にしてもやはり、底の部分は変形が少なかったと言っています。CTスキャンまではやらなかったようですが。議論はかなり延々と続いていますが、とにかくX線CTスキャンの威力については異論がなさそうです。